米国の仮想通貨取引所ジェミナイは、米国外への拡大を進める米仮想通貨企業が増える中、欧州事業のオペレーション拠点としてダブリンを選択した。

2014年にジェミナイを設立したキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏は5月25日、ヨーロッパ全体でのサービス拡大のための拠点としてアイルランドを選んだことを明らかにした。

アイルランドのレオ・バラッカー首相との会合で、ウィンクルボス兄弟は堅牢な規制システム、豊富な人材プール、確立された技術コミュニティのためにアイルランドを選んだと語った。

2022年8月の調査によると、調査対象のアイルランド人の約10%が仮想通貨を保有していた。しかし、この数字は2021年の強気市場時の12%から減少していた。さらに、アイルランドの中央銀行総裁は1月に仮想通貨広告の禁止を求めている。

しかし、これはバイナンスやクラーケンといった仮想通貨取引所、ブロックチェーンやフィンテックのスタートアップ企業がアイルランドに企業を設立するのを妨げていない。

バラッカー首相は「これはアイルランドにとって重要である。政府はイノヴェーションを成長の推進力として重視している」とコメントした。キャメロン・ウィンクルボス氏は記者団に対して、「アイルランドは私たちのEUへのエントリーポイントである」と述べた。

「私たちはEU全体を潜在的なエントリーポイントとして見ていたが、アイルランドやその規制当局であるCBIの評判、そして技術コミュニティ、人材、エコシステムに非常に満足している。そのため、私たちにとって、これは自然な適合とだった」

既にダブリンに12人のスタッフを擁するオフィスを持つジェミナイは、2022年7月にアイルランド中央銀行から仮想資産サービスプロバイダーのライセンスを取得した

同社は、EUでの新たな暗号資産市場(MiCA)規制の採択を受けて、社員数を増やす予定だ。MiCAは5月16日に正式に承認された

ウィンクルボス兄弟は規制枠組みが整備されたのを受けて仮想通貨業界が大きく後押しされると予測している。「ヨーロッパでのMiCAの結果としてイノベーションのカンブリア爆発が起こると思う」とキャメロン・ウィンクルボス氏は話す。

ジェミナイが海外に進出するのはこれが初めてではない。同社は4月に、急成長する技術人材プールを活用するために、インドにエンジニアリングハブを設立する計画を発表した

この移転は、一部の業界関係者が「仮想通貨戦争」と呼んでいる米国内での規制圧力が増加している中で行われた。

ジェミナイに対する米証券取引委員会の行動は1月に行われ、同社が未登録の証券販売を行っていたとして告発した。「確かに難題であり、一貫性が欠けている」と、米国の規制状況についてキャメロン氏はコメントした。

同社は現在もジェミナイ・トラスト・カンパニーLLCの下でニューヨークにオフィスを維持している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン