イーサリアム(ETH)は今週、大きな値動きを見せた。水曜日には15週ぶりの高値となる2879ドルを記録したが、その後急落し、金曜日には2433ドルまで下落した。下げ幅は15%に達した。現在は2600ドルをやや下回る水準で保ち合いの様相を呈しているが、中長期のチャートパターンからは、今後数週間にわたり下押し圧力が続く可能性が示唆されている。
週足チャートでは、イーサリアムが「上昇チャネル」パターンを形成している。このパターンは、上昇する平行線の間で高値と安値を切り上げていくもので、基本的には堅調な上昇トレンドを示す。しかし同時に、下限のトレンドラインを割り込んだ場合には、チャネルからの下方ブレイクとなり、売り圧力が強まれば2100~2200ドル付近まで調整が進む可能性がある。
この2100~2200ドルのゾーンは過去数か月にわたって意識されてきた価格帯であり、2023年末から2024年8月にかけてサポートとして機能していた実績がある。
また、イーサリアムの第3四半期(7~9月)の過去のパフォーマンスは弱含みの傾向を示しており、下落懸念を裏付ける材料となっている。過去2四半期はいずれも2桁のマイナスであり、それぞれ24.19%、13.64%の下落となった。Q3全体での平均リターンも0.88%と低調だ。
仮想通貨市場は夏休みシーズンに伴い、取引高やボラティリティが減少する傾向にある。この季節要因が2025年の第3四半期にも当てはまるとすれば、イーサリアムは2100~2200ドルのサポートレンジに向けて再び下落する可能性がある。
2100ドルは強気派にとって好機となるか
もっとも、2100ドル付近への下落は、イーサリアムを中長期で狙う投資家にとっては絶好のエントリーポイントと見なされるかもしれない。
実際、グラスノードのデータによると、現物イーサリアム上場投資信託(ETF)の資金流入は着実に拡大している。「今週だけで15万4000ETHの流入があり、これは最近の週次平均の5倍に相当する。参考までに、今月最大の単日流入は6月11日の7万7000ETHだった」という。
イーサリアムETFの買いに加えて、ブラックロックもiシェアーズ・イーサリアム・トラスト(ETHA)を通じてイーサリアムを積極的に取得している。過去数週間で5億ドル以上のETHを買い増し、現在の保有量は151万ETH(約38億7000万ドル)に達している。これは機関投資家の中長期的な強気姿勢を反映している。
さらに、トークンターミナルのデータによれば、金融サービス業界やフィンテック企業が資産のトークン化を進める中、イーサリアムへの資金流入が加速している。トークン化された資産の運用残高は50億ドルを突破し、ブラックロックやアポロといった大手の存在がこの潮流をけん引している。
こうした機関投資家によるものに加え、年末の投資戦略が活発化する第4四半期にかけての上昇トレンドも期待される。イーサリアムは2025年末までに再び大きなブレイクアウト局面を迎える可能性がある。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。