2018年のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)ブームの中で誕生したブロックチェーンEOSネットワークが、「ヴォルタ(Vaulta)」へとブランド変更し、Web3バンキングへのシフトを図る。

3月18日の発表によれば、ヴォルタへの移行は5月末を予定しており、新たなトークンの導入とともに、新たな方向性を支援するヴォルタ・バンキング・アドバイザリー・カウンシルを設立する。

EOSトークンが「ヴォルタトークン」に移行

別の発表によれば、現在のEOSトークンはヴォルタトークンへと移行する予定であり、EOSが取引されている約140の取引所で利用可能になるという。また、5月にはスワップポータルが開設され、EOS保有者はヴォルタトークンに交換できるようになる。トークンのティッカーや技術的詳細については、後日発表される予定だ。

ヴォルタはEOSネットワークの既存のインフラを継承し、ビットコインのデジタルバンキングソリューション「exSat」とも統合される。この統合により、ヴォルタの「BankingOS」システムが強化され、Ceffu、スピリット・ブロックチェーン、ブロックチェーン・インシュアランスとの提携を通じて幅広い金融サービスを提供するという。

EOSの巨額ICOからヴォルタへの転換

EOSネットワークのヴォルタへのリブランドは、同ブロックチェーンにとって大きな方向転換となる。

EOSは2018年6月に華々しくローンチされた。1年間にわたり行われたICOで40億ドルを調達し、史上最大のICOの1つとして注目を集めた。ネットワークを立ち上げたのは、EOS開発を主導していた企業ブロック・ワン(Block.one)だ。

EOSはローンチ後の数年間、時価総額トップ10に入る主要アルトコインの1つだった。しかしその時価総額は下落し続け、コインゲッコーによれば、時価総額トップ100圏内で95位となっている。

EOSの失速の理由についてはさまざまな意見がある。EOSの開発にボランティアとして関わった者の中には、「ブロック・ワンによる十分な支援や方向性が欠如していた」と指摘する声もある

ブロック・ワンは2019年9月、米証券取引委員会(SEC)との和解により2400万ドルを支払った。その後、ブロック・ワンの関心はEOSの基盤技術から別のプロジェクトへと移ったとの見方がある。

ブロック・ワンは、EOSの開発から次第に距離を置き、ソーシャルアプリからNFTマーケットプレイスへと転換した「Voice」や、仮想通貨取引所「Bullish」といった別事業に注力するようになった。

グッドブロックのCEOであるダグラス・ホーン氏は、EOSの投資家は当初から誤解を招く形で導かれたと考えている。ホーン氏は2023年にコインテレグラフ・マガジンの取材に対し、「それが最初から計画されていたかどうかは別として、ブロック・ワンは欺瞞的なICOを行った」と語っている。