トヨタファイナンシャルサービスとR3コンソーシアムが共同でブロックチェーンアプリケーションの研究開発を行う旨を発表した。
世界中から50社以上のメガバンクや企業が一堂に会するR3コンソーシアムは、金融業、その他の業界におけるブロックチェーンによるソリューションを如何に取り込むか常に探求し続けている。
ブロックチェーンの採用
コンソーシアムが最初に発足した際、最も早くその技術に反応したのが世界の銀行や金融機関だった。暗号通貨の根幹を成しているということを考えれば、世界がブロックチェーン技術を先んじて知ろうとしたことは驚くに値しない。金融業界のプレーヤーたちがブロックチェーンを知ろうとすればするほど、ブロックチェーンという名の謎めいたその技術の名が世に知れ渡ることになったからだ。
しかし、金融業界に属さない熱狂家たちがよりブロックチェーンという分野に身を投じれば投じるほど、新しい技術が増々実用化され現実のものとなってきているのは事実だ。銀行業以外の分野に属する機関が同コンソーシアムにジョインし始めていても何ら不思議ではない。
金融業を超えたブロックチェーンの持つポテンシャル
トヨタファイナンシャルサービスはつい最近R3に参加したメンバーの一つだ。トヨタは分散型元帳システムを自動車金融サービスに組み込むという興味深い実験を試みようとしている。トヨタは同コンソーシアムのパートナーとしてそのグローバルなネットワークに参加する予定で、R3 Lab and Research Center.への参加も既に決まっているようだ。トヨタとR3が戦略的なパートナシップを結んだことで、非金融業界における分散型元帳を利用したユースケースの探求と試験的運用という共通目標の実現に向けてさらに拍車がかかることだろう。トヨタファイナンシャルサービスは、その分野におけるブロックチェーンの高いポテンシャルを見出しいてるようだ。
トヨタファイナンシャルサービス、CEO兼戦略的グローバルイノベーション最高責任者Chris Ballinger氏は次のように語っている―
「金融業を超えて、自動車産業におけるさらなるテクノロジーやセールスを生み出さしていくことで、モビリティをさらに手頃な価格で利用可能へと変えることが出来ると我々は信じています。トヨタファイナンシャルサービスはR3のエコシステム発展に貢献する機会に巡り合えたことを歓迎しています」
R3の参加者基盤は多様化している
トヨタファイナンシャルサービスは米国におけるトヨタの自動車を利用する顧客向けの金融・保険ブランドであり、レクサスファイナンシャルサービス傘下のディーラーや顧客向けの金融商品を取り扱っている。トヨタファイナンシャルサービスは間違いなくコンソーシアムにとって欠かせない存在である。彼らをチームに迎え入れたことはコンソーシアムの歴史において重要なマイルストーンとなる一方で、他のプレーヤーたちが業界外からさらに参入するためのチャンスを作ったともいえる。
Ballinger氏はメディアに次のように伝えている―
「トヨタファイナンシャルサービスは、金融業界のみならず様々な分野において分散型元帳技術のユースケースをさらに発展させるべくR3CEVコンソーシアムに参加できたことを大変嬉しく思っております。この技術が今後究極的にコストを下げ、効率を高め、そして顧客に向けた自動車ファイナンスの透明性をより高めることができると確信しております」
R3 CEO、David Rutter氏は次のようにコメントしている―
「今回、トヨタファイナンシャルサービスを未だ成長を続ける我々の非金融機関ネットワークへと迎え入れることができ、大変嬉しく思っております。分散型、そして共有型の元帳にインスパイアされたこの技術には、すべての金融市場参加者が利用するインフラに対し革命を起こすポテンシャルを秘めていますし、我々はその参加者のベースをさらに多様化させ、販売、及び購入という観点から企業の利益を反映させ続けていく考えです」
トヨタはどのようにして分散型元帳システムを取り入れるのか?
トヨタは未だ今回の記念すべき共同プロジェクトの始まりを飾ったその全容を明かしてはいない。しかし、いくばくかの方向性は判明している。例えば、オンラインの分散型元帳により参加者はアセットの所有権をトラッキング可能になり、工場や国を跨ぐようにして自動車部品の製造過程を追えるような仕組みが可能になる、などの点だ。
Ballinger氏は、2011年に日本を襲った悲劇的な地震と津波の災害についても触れ、それにより2つの工場が閉鎖された旨も語っている。それ以後、同社は何十万もの自動車製造に使われるパーツや、特にサプライチェーンに混乱が生じるようなシチュエーションを想定してリアルタイムで実際の記録が追えるような方法を模索し続けている。Ballinger氏は分散型元帳技術をそういったシステムに取り入れることでトヨタがより優れた企業に発展すると考えているようだ。それだけ