21日の仮想通貨相場は全面安の展開だ。米国とメキシコの国境に壁を建設するための予算をめぐり米政府機関の一部が閉鎖されていることを受けて、トランプ大統領が民主党に妥協案を提示したものの、民主党が拒否。またCCNが20日、大手仮想通貨取引所の顧客情報がダークウェブで売買されていると報道したことがきっかけとなって仮想通貨相場が下落に転じたという見方が出ている。

(引用元: Coin360)

「顧客情報がダークウェブに流出」

ビットコイン(BTC)は過去24時間で3.4%の下落。現在、3600ドル付近で推移している。FXcoinのシニアストラテジストである松田康生氏は、下落の要因として、CCNが報じた「大手交換所の顧客データ流出」を指摘した

(引用元:TradingView 「ビットコイン/米ドル(1日)」)

CCNによると、違法な取引を仲介するダークウェブ「Dread」で、バイナンスやビットフィネックス、ポロニエックス、ビットトレックスといった大手取引所の顧客データが売買されている可能性がある。CCNが入手したデータによると、 “ExploitDOT” という名のハッカーがKYC(顧客確認)チェックで使われた文書のハッキングに成功したと主張し、2018年7月から広告を出していたという。ハッキングされた文書には、IDカードや自動車の免許証が入っているという。

(引用元:CCN 「取引所の顧客データを売買するハッカーの広告」

 

この広告によると、100枚以上の文書は10ドルで、大量購入すれば割引が適用される。現在もダークウェブ上に掲載されているという。CCNが連絡をしたサイバーセキュリティーの専門家は、購入者との連絡に成功し、文書には顧客の顔、IDと免許書、撮影日時、「バイナンス」という文字が確認したという。

トランプ妥協案 民主党は即座に否決

トランプ大統領は19日、メキシコとの国境の壁建設資金として57億ドル(約6260億円)の確保するため、予算の計上を拒否する民主党に妥協案を提示。幼少期に親に連れられて入国した不法移民の若者「ドリーマー」の保護を3年間延長する代わりに、壁の予算を承認するように求めた。

この妥協案を民主党は即座に拒否。政府機関の閉鎖解除後に国境のセキュリティー問題を協議する姿勢を崩していないという

1ヶ月間続く米政府の一部機関の閉鎖は、仮想通貨業界にも影を落としている。

インターコンチネンタル取引所が手がけるBakkt(バックト)は、現物受け渡しのビットコイン先物取引の開始に向けてCFTC(米商品先物取引委員会)と協議を続けているが、政府機関の閉鎖の影響で、CFTCの審査プロセスも遅れるのではないかという懸念の声が出ている

ダークウェブとは、IEやChromeといった一般に利用されるブラウザからは、アクセスできないウェブサイトの総称。ダークウェブへのアクセスには、個人情報を高水準で保護することを目的に開発された「Tor」というブラウザを介する必要がある。ある特定のダークウェブにたどり着くには、Googleのような検索エンジンがないため、特定のURLを人脈を屈指して入手したり、たまたま行き着くしかないなどインターネット創世記の状態であるが、その匿名性は非常に高い。ゆえに、麻薬や武器の売買、テロ組織の情報交換手段といった犯罪目的での活用も問題となっている。仮想通貨黎明期に、ビットコインを用いた違法売買を行う「シルクロード」というダークウェブが注目を浴びた。管理人のロス・ウルブリヒトはその後逮捕され、仮想通貨の危険性を認識させた一方で、ビットコインの潜在的な実用性を広く認識させるに至った。

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