仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)が12000ドルを突破する動きが出るなかで、アルトコインのパフォーマンスがビットコインを上回っている。

最も注目すべきなのが、バンドプロトコル(BAND)とチェインリンク(LINK)で、過去10日間でそれぞれ348%と88%の急上昇を見せている。両者は分散型金融(DeFi)アプリケーションにデータを供給するオラクル・ブロックチェーンネットワークとして機能している。

8月に入って、BANDの価格は3.9ドルから17.78ドルまで上昇。LINKは7.6ドルから10日のピーク時には14.45ドルまで急騰した。

BAND and LINK performances side by side

(出典:トレードブロック「BANDとLINKの値動き」)

DeFiトークンの急騰の背景は?

こうした急上昇の背景として、DeFi分野の急激な成長がある。

DeFiアプリケーションを利用することで、ユーザーは取引や融資のほか、仮想通貨のレンディングで金利を得るといった様々な金融活動が可能になる。

DeFiプラットフォームでシームレスに実行するには、様々なウェブサイトやブロックチェーンネットワークから市場データを取得する必要があり、ここでオラクルが使われるようになる。

オラクルはブロックチェーンの外からのデータを、ブロックチェーン内に提供するシステム。スマートコントラクトを行う際に、DeFiプラットフォームを実行するためのデータを取得するために必要となる。そのため、DeFiセクターが拡大すると、オラクルを提供するブロックチェーンネットワークがその恩恵を受けることになる。

トレードブロックのレポートによると、以下のように説明されている。

「オラクルは、オフチェーン(ブロックチェーンの外)のデータをパブリックブロックチェーン上に存在するスマートコントラクトのパラメーターと統合することを可能にする。」

DeFiパルスのデータによると、6月1日以降、DeFiアプリにロックされている総額は10億4800万ドルから47億6000万ドルに急増している。多くの資本がDeFi市場に参入したことで、オラクルの需要も増加したと見られる。

バンドプロトコルとチェインリンクの主な違いは、BANDはクロスチェーンであるコスモス(Cosmos)をベースにしていることと、LINKはイーサリアムネットワーク上で動作するという点だ。Cosmosはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用している。一方のイーサリアムは現在PoSへ移行しようとしている最中だ。

BANDは評価額に大きな開きがあることから、ここ数週間でLINKよりも実質的に大きな利益を上げている。現在、LINKが40億ドル以上の評価を受けている一方で、BANDは348%という急上昇にも関わらず、3億800万ドルにとどまっている。

メサーリはBANDがLINKと同じような道を辿ったことが成長につながったと説明している。

「BANDはこのほど、コインベースプロの上場を含めて、多くのパートナーシップを発表するなど、LINKの真似をしているようだ。年間で32倍以上の上昇を見せ、相対的な評価とLINKへのアンカーとしての役割はこれまでのところ上手くいっている」

 

The timeline of BAND’s rally

(出典:メサーリ「BANDのタイムライン」)

オラクル需要は増えるのか

アジアを拠点するベンチャーキャピタルであるスパルタン・ブラックの共同創設者であるケルビン・コー氏は、BANDは今後も上昇すると予想する。コー氏は今後12ヶ月でBANDが評価額の差を埋められると考えている。

「BANDは年初来、大幅な再評価を受けているが、BANDの時価総額はLINKの5%にとどまっていることは注目だ。BANDがまだ初期段階だと考えると、これは妥当な数字だが、今後スケールアップするなかで、今後12ヶ月で評価の差が縮まっていくだろう」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン