5月15日、ビットポイントの親会社であるリミックスポイント社の決算が発表された。主要国内仮想通貨取引所の決算が出揃ったこのタイミングで、コインテレグラフ日本版編集部では、仮想通貨取引所の決算をまとめた。期間については2018年12月期末、2019年3月期末と違うものになっているが、主に2018年度の業績として比較した。比較表については以下の図となっている。


(図:仮想通貨取引所最新決算情報まとめ)

突出するbitFlyerの業績。一方、今後はレバレッジ上限引き下げが収益構造に影響か

上記の図から言える事は、他仮想通貨取引所と比較しbitFlyerの営業収益が突出している事だ。2018年はcoincheckは流出事件から一時取引停止などに見舞われ、21億の営業収益に止まった。とは言え、bitFlyerも新規申し込み受付を昨年の5月の業務改善命令時より停止している。それでもこの営業収益をあげた。しかし、bitFlyerを手放しで賞賛し、今後も同様の高い収益を上げるドル箱企業となりうるかについては疑問だ。その理由として挙げられるのは、5月28日に予定されている証拠金取引の最大レバレッジ倍率の引き下げだ。現在同社では、最大15倍のレバレッジ取引が可能だが、最大レバレッジ倍率を5月28日に4倍に引き下げる。この影響で、同社の収益にも少なからず影響を与える事が予想される。

bitbankは現物取引高シェア1位も、収益に課題

bitbank社は2018年12月時点では国内の現物取引高の48%を占め、国内取引量シェア首位を印象付けたが、レバレッジ取引等における収益差が出たようだ。なお、bitbankの受入手数料だけで見れば約7億円の収益であったが、仮想通貨売買等損益で20億の損失となっている事からカバーリングまたはトレーディング等で大きく響いたことが推測できる。GMOコインもbitFlyerの1/3に届かない程度ではあるが、40億の営業収益と7億の営業利益を出している事は一定の評価がされる事だろう。

海外取引所との格差も

一方で、国内取引所の収益と海外の主要取引所との収益差が目立つ。世界最大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)の2018年通期の利益はThe Blockの予測によると約490億円である他、米大手取引所Coinbaseはロイター通信の報じた推定値によると約582億円の売上高となっているなどその収益額は大きい。ただコインチェックが2018年度3月期営業利益537億円をあげた事を考えれば、国内取引所にも大いにチャンスはある。

身から出た錆ではあるが、昨年1年間度重なる行政処分などで日本の仮想通貨取引所は冬の時代を経験した。その間、BinanceやCoinbaseといった世界の大手仮想通貨取引所は積極的なM&A等で次の飛躍に向け力を蓄えつつある。過去を振り返れば、日本はiモードなどでガラパゴス化し独自のマーケットを作り上げたが、その影響なのか議論はさておき時代の転換に取り残され、GAFAやBATなどインターネットの巨人の台頭に市場シェアの独占を許し、国内企業では太刀打ちできないほどの差があるのは明白だ。その歴史を繰り返さない為にもレギュレーションと革新というジレンマをいち早く解消し、仮想通貨マーケットでは世界シェアを高め、再び世界と戦える取引所を育成していく必要があるだろう。

各社決算データまとめ

bitFlyer


(出典:官報)

営業収益:140億85百万円
営業利益:53億35百万円
経常利益:48億94百万円
税引前当期純利益:39億68百万円
当期純利益:21億46百万円

bitbank


(出典:bitbank社平成30年12月期決算書類)

営業収益:▲18億77百万円
営業利益:▲32億39百万円
経常利益:▲32億36百万円
税引前当期純利益:▲32億46百万円
当期純利益:▲25億37百万円

coincheck


(出典:MONEX GROUP 平成31年3月期決算短信[IFRS])

営業収益:21億16百万円
税引前当期純利益(セグメント):▲17億32百万円

SBIバーチャル・カレンシーズ


(出典:SBIホールディングス2019年3月期決算説明会資料)

税引前当期純利益(セグメント):3億6千万円

GMOコイン


(出典:GMOフィナンシャルHD2018年12月期決算説明会資料)

営業収益:40億36百万円
税引前当期純利益(セグメント):7億23百万円

楽天ウォレット


(出典:官報)

税引前当期純利益:▲1億91百万円

BITPoint


(出典:リミックスポイント2019年3月期決算)

営業収益:13億53百万円
税引前当期純利益(セグメント):▲12億37百万円