10年前、暗号通貨市場というものは存在していなかった。ビットコインはまだサトシ・ナカモト氏の神秘的な脳みそから生み出されておらず、イーサリアムの創設者はわずか13歳になったばかりだった。

言い換えれば、暗号市場はほとんど存在しなかった。 Bitcoinの(当時)名も無き発明者の目には見えていたのかもしれないが、誰も "Blockchain technology"について聞いたことがなかった。

分散型の世界を作り出すには、完全に現実世界から切り離さなければならなかった。

しかし、それでも暗号通貨市場は今日約1,643億ドル規模まで成長を遂げている。

現在が有史以来最も爆発的に富が増加している時代であるというのは疑う余地が無いであろう。

ビットコインのマイニングによって最初のクリプト・ミリオネア世代が世に生まれた。次に一連のクラウドセールによってミリオネアたちが生まれ、ライトコイン、ビットコイン、イーサーと、それらを次々と伝説的な投資オプションへと変えたのだ。

現在、我々は新たな暗号通貨市場のステージへと突入しており、多くの人々が利用するような商業的なユースケースや、特定のユースケースに特化した新たな暗号通貨は、ほぼ毎日登場している。そして、政府の規制機関は暗号通貨をどう扱うべきか完全な枠組みを用意する必要があるだろう。

そんな中、暗号通貨の市場規模は今年の終わりまでに2,000億ドルを突破する可能性が出てきている。

 

価格高騰の材料

 

市場をリードしているのは、ビットコイン、イーサリアム、そしてリップルの3つだ。

いずれも市場が成熟する環境を育むことに寄与しているが、イーサリアムはその中でも顕著だ。

イーサリアムの「スマートコントラクト」は、イニシャル・コイン・オファリング、通称ICOを通じて新たな暗号通貨資産世代を生み出した。

GnosisやCivicのような企業や製品は、ICOのメソッドを利用した後に多くのキャッシュを手に入れているが、参加した投資家たちの多くはそうしたエクィティによる分け前を獲得していない。一方、金融業者はそうしたイーサと引き換えに発行された企業のネイティブトークンと取引する権利を獲得している。

一瞬にして企業の財源がゼロから1,530億ドル規模にまで成長する様を想像してみてほしい。重要なのは、それが「超音速的に」成長する環境を作り出しているということである。

クリエイターや起業家たちは、持てる才能や知的財産を持ち寄りICO革命イーサリアムに一挙に集中する。

中には、こうしたトレンドによってスタートアップ業界におけるベンチャーキャピタリスト(VC)の役割を奪うことに繋がるのではないかと危惧する人もいる。2017年を見てみれば、ブロックチェーン関連企業がICOを通じてVCよりもはるかに大きな額の資金を調達していることがわかるだろう。

 

Price

 

誰もがこのトレンドに気づいているが、そうしたシステムが根本的な価値を生み出すのかということに関しては懐疑的な人もいる。彼らは果たして正しいのだろうか。

 

懐疑論者たちが暗号通貨の時価総額を過大評価だと考える理由

 

批評家たちは、暗号通貨市場がバブルであると信じている。リップルの価格予想は誇張されすぎていると考え、イーサリアムの予想価格は妄言だと吐き捨て、ビットコイン価格は…ご多分に漏れず、だ。

彼らは暗号通貨に対して全く異なるビジョンを持っている。大量の人工的なアセットが仮想空間にしか存在しない様子を、彼らは2000年のドットコムバブルと重ねて見ているのだ。

当時、多くのインターネット企業が、少ない資本で多くの利益を得ようと手軽に手に入るキャッシュに殺到した結果、市場は暴落へと向かった。

念のために言及しておくが、こうした歴史的事実は実に的を射ている。しかし、その予想はある意味で大きく外れるに違いない。何故なら、そうした世界の終焉物語には至らず、結果的に世界を牛耳るような大企業が今では数多く存在しているからだ。

私の意見が信じられないのであれば、時価総額ランキング上位にランクインしている名だたる世界の企業を見てみればわかるだろう―Apple Inc. (NASDAQ:AAPL)、Alphabet Inc (NASDAQ:GOOGL)、Amazon.com Inc. (NASDAQ:AMZN)、などが上位にその名を連ねており、そこにいるのは、エクソンモービル (NYSE:XOM)や、ゼネラルモーターズ (NYSE:GM)ではないのだ。テック企業が世界を変える、という予想は完全に現実のものとなったのだ。

多くの人が信頼を失うことなく裕福になったのである。同様に、市場価格が修正されようがされまいが、ブロックチェーン企業も世界を変えるだろうという考えにも疑いは少ししか向けられないだろう。

 

アナリストの分析

 

それでも読者の中にまだ疑いを持つ者がいるのであれば、このような思考実験はいかがだろうか―まず、あなたは時間を遡り、1929年の株式市場暴落の日に今いるとしよう。所謂、ブラックチューズデーだ。市場に懐疑的な一人が、すぐにお金を引き上げて、もう1セントたりともつぎ込むなと、忠告してきたとしよう。

そして、あなたはその忠告と真逆の行動に出るのだ。全ての株をたんまりと買い占め、がっちりとホールドして決して離さない。すると、どうだろう。不思議なことに、声をかけてきた人もあなた自身もふたりともその日を無事生き残ることができるのである。さて、どちらの判断が正しかったと言えるのだろうか。

まともな人間のほとんどは、疑念を感じながらこう言うだろう、「もちろん、投資しない方が良いに決まっている!市場はその日の内に暴落するのだから、馬鹿め!」と。

それは正しい。市場は確かに1929年に崩壊し、フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領によるニューディール政策が施行されるまで完全には回復しなかった。しかし、だからといって、特に、特定の資産をホールドし続けたおかげで大資産家になっていたかもしれないからといって、庭の小屋に資産を隠せということにはならない。

長期的に考えれば、株式市場の長期的な軌道は、「上昇と前進」だ。資本主義の原則に則って時間をかけて成長し続けている。常に正しい時にというわけにはいかないが、お金は真の価値あるものに流れるのだ。

つまるところ、ICOの中に疑わしいものがあったとしても、全ての暗号通貨市場に異を唱えるのは間違っているはずだ。業界には時代の流れを変えるような企業が存在していて、その中にはAppleやGoogle、Amazonなどのような大企業に変化を遂げ、暗号通貨市場の時価総額を何兆ドル規模へと変貌させるようなものもあるかもしれない。

とはいえ、短期的に見れば、暗号通貨の市場規模は現在の成長パターンを以って2017年終わりまでには2,000億ドル規模へと成長していくと考えれば十分なはずだ。過去10年で過ぎたことを後悔しているような人達は、完全に間違っていたからこそ、そうした今があるのである。

 

注釈: 本記事は、Profit Confidentialのセキュリティ・アナリストであるガウラフ・S・イヤー氏によって書かれたものである。彼はバイ・アンド・ホールドによる投資戦略の主唱者だ。彼の日々の戦略は、ProfitConfidential.com で見ることが出来る。