コインシェアリサーチは5月4日、様々な半減期シナリオの可能性と業界への影響についてまとめたレポートを発表した

仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)の半減期は、仮想通貨業界で想像力を喚起し、ビットコインネットワークを破壊する「死のスパイラル」から放物線状の上昇を予測するものまで、風変りな予測に事欠かない。

コインシェアの調査責任者であるクリスとフォー・ベンディクセン氏が5つのシナリオを分析している。

Source: CoinShares Research

出典: CoinShares Research

ネガティブシナリオ

まずベンディクセン氏は、マイニング報酬の半減がビットコインのマイナーがマイニングから撤退することになる「世界の終わり」を招く死のスパイラルシナリオについて触れ、その可能性を除外している。

ベンディクセン氏は、前回の2回の半減期の経験的から、非常に可能性が低いと考えている。ブロックチェーン研究者のアンドレアス・アントノプロスも半減期について語り、このシナリオがありそうでないと述べている。

別の悲観的なシナリオは、プロの投資家が「噂で買って」「ニュースで売る」という仮定に基づいている。ベンディクセン氏は、トレーダーは通常戦略を共有していないため、このシナリオを評価するのは難しいと考えている。いずれにせよ、同氏は価格に大きな影響を与える可能性は低いと考えている。

研究者が調査する次の否定的なシナリオは、半減期により、マイナーによる売り圧力が生じて、価格が下がるというものだ。ビットコインの価格が下がると、マイナーは自身の経営を維持するために所有するビットコインをもっと売らざるを得なくなり、売り圧力が生ずるというものだ。

半減期になることは、ビットコインの価格が半分になるのと同じようにマイナーの収益に影響を与えるが、ベンディクソン氏は半減期は事前に予測されている点が異なると指摘する。ほかのすべての要因を一定に保ち、マイナーが操業を続けるためにより多くのコインを売る必要はない。

ポジティブシナリオ

最も楽観的なシナリオは、ストック・フロー分析に基づいているものだ。このモデルはまだその真贋がはっきりしていないが、ベンディクセンはその双曲線的予測については懐疑的だ。

すべての一般的なシナリオを分析した後、ベンディクセンは彼自身のポジティブな予測を提案した。

同氏は、3月の仮想通貨相場暴落と、半減期の組み合わせが、弱く非効率的なマイナーを追い出すことになると考えている。残りのマイナーはより低コストで運営でき、そのためコストをカバーするために新しく作成されたビットコインの売却もより少なくなるとみている。それは市場に長期的なプラスの影響を与えと考えている。

「これらのダイナミクスと、グローバルガバナンスによって提示されたマクロ経済の追い風、および現在観察されているパッシブなビットコイン投資商品への増大する流入との組み合わせにより、中長期的にビットコイン価格にパーフェクトストームが発生する可能性がある」

既に価格は織り込まれてる?

もちろん、別のシナリオもある。半減期が価格に影響を与えないというものだ。何人からのアナリストは、既知のイベントとしての半減期がすでに織り込まれているとの見方を示している。半減期まで1週間もかからないので、どのシナリオが実行されるのかどうかがわかるのには、長い時間待つ必要はないだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン