仮想通貨と人工知能(AI)技術の融合に注目が集まる中、コインベースの調査レポートは、少なくとも短・中期において、AI関連トークンが過大評価されている可能性を指摘している。

生成AIの人気の高まりにより、AI関連の仮想通貨サブエコシステムが活気づいた。しかし、コインベースの研究アナリストであるデビッド・ハン氏は、AIの急速な変化を受け、多くのAI関連トークンの長期的な持続可能性について「慎重になっている」という。

AI系の仮想通貨プロジェクトの大きなな課題の1つは、2つの技術の在り方に関わってくる。ハン氏によると、仮想通貨プロジェクトは分散化を目指しながら、現行のAI提供は中央集権的な要素とデータソースに大きく依存している。さらに、この分野の多くのプロジェクトは投資家を引き付けることに失敗している。

コインベースのレポートは、仮想通貨-AIエコシステムにおける2つの機会があり得ると強調している。1つはブロックチェーンデータを改善して人間が読めるトランザクションと分析を作成すること、そしてもう1つは主に中央集権的なAIインフラを分散化する手助けをすることである。しかし、ハン氏は「現在仮想通貨業界で多くの人が思い描く分散型AIの未来は保証されていない。実際、AI業界自体の未来もまだ大きく不確定だ」と語る。

ネガティブな見通しにもかかわらず、多くのAIトークンは最近、ビットコイン(BTC)やエヌビディア、マイクロソフトといった株式を上回るパフォーマンスを示している。これは、広範な仮想通貨市場によって構築された市場センチメントと、関連するAIニュースの見出しに支えられた結果だとハン氏は指摘している。

AI系トークンのパフォーマンス. Source: coinbase.bynder.com

仮想通貨市場とAIセクターが好調を維持する中、仮想通貨-AIのナラティブはさらに強まる可能性がある。しかし、コインベースは「意味のある採用」を推進するためには、AIコンポーネントの分散化以上のものが必要だとしている。

仮想通貨とAIを巡っては、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は最近、AIがイーサリアムネットワークでのバグを根絶する上で重要な役割を果たす可能性があるとコメントしている。2月19日のツイートで、ブテリン氏はコードのバグが「ネットワークにとって最大の技術的リスク」とし、AIによる検証がゲームチェンジャーになると主張した。

Crypto.comのデータによれば、3月8日現在、AI系トークンの時価総額は合計で511億ドルとなっている。これらのトークンは、分散型AIマーケットプレイス、AI駆動の取引アルゴリズム、AI主導の分散型自律組織(DAO)など、AIベースのプロジェクト、アプリケーション、サービスに関係するものだ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン