石油採掘時に発生する廃ガスを利用し高性能コンピューティングの電源として活用するクルーソー・エナジーが、ビットコイン(BTC)マイニング事業をニューヨーク・デジタル・インベストメント・グループ(NYDIG)に売却する。今後は人工知能(AI)分野に経営資源を集中させる計画だ。
クルーソーは3月25日の発表で、規制当局の承認などを前提として、ビットコインマイニング事業およびデジタル・フレア・ミティゲーション(DFM)事業をNYDIGに売却する方針を明らかにした。
今回の取引には、米国およびアルゼンチンに設置された425以上のモジュール型データセンターで構成される270メガワット分の発電インフラに加え、クルーソーの従業員135人が含まれる。なお、今回の売却に伴う人員削減は発生しないという。
クルーソーは2018年に設立され、油田開発や精製工程で発生する廃ガスを燃焼処理(フレアリング)せず、ビットコインマイニングの電力として再利用する独自技術を開発。いわゆる「ストランデッド・エナジー(活用されていないエネルギー)」を電力に変換し、ビットコインマイニングやAI向けの高性能計算処理に活用してきた。
一部報道によれば、クルーソーのビットコインマイニング事業は、世界のビットコインマイニングの1%を担っているとされる。
Source: クルーソー・エナジー
AI分野への本格転換
クルーソーの共同創業者で社長兼最高執行責任者(COO)のカリー・キャヴネス氏は、CNBCの取材に対し「AI関連事業はすでに当社収益の大半を占めている」と語った。
同社は最近、テキサス州アビリーンにあるAIデータセンターを1.2ギガワット規模に拡張したほか、投資会社エンジン・ナンバー・ワンとの合弁事業を通じて、米国内各地で大規模なAIデータセンター群の開発にも乗り出している。
また、2023年12月にはシリーズD資金調達ラウンドで6億ドルを調達し、評価額は28億ドルに達した。
キャヴネス氏は「当社には巨大な機会があり、すでに発表したプロジェクトでも大きな優位性を築いている。今後さらに発表が控えている」と述べている。
一方、買収側のNYDIGは今回の事業取得によって、ビットコインマイニング事業の強化を目指す。