6日の仮想通貨ビットコインは急騰を続け、過去24時間で12%超上昇し15800ドル付近を推移している。この勢いが続けば、2018年1月に記録した16000ドルを超えるのも近そうだ。昨年の6月に記録した13000ドルを突破した現在の価格推移では、2万ドルまで大きなレジスタンスがないとの指摘が以前からも出ている。このまま上昇を続けるのだろうか。

仮想通貨チャート

(出典:Coin360 11月6日午前11時00分)

これまでとは違う強気トレンド

今回の価格上昇について、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスでチーフエコノミストを務めるフィリップ・グラッドウェル氏は現在の動きと、今後の動きを予想した。

今回の上昇については「接戦となっている米国大統領選と価格上昇の一致は偶然ではない」とし、ビットコインはマクロ経済の不確実性の中で保有すべき資産とみなされている」ことが一因だと指摘した。こうしたことからFOMO(取り残されることへの恐怖から買いが起こること)が起きているように見えるとした。

さらに「これまでの強気相場では見られなかった、欧米の投資家が法定通貨でビットコインを購入するという現象」が起きているという。今年7月下旬から8月上旬に見られた強気相場では、キャッシュアウトが見られたが、現在は保有したままの人が多いことから、上昇傾向は今後も続くとして、「強気のトレンドが持続する」と予想した。

グラッドウェル氏は、2017年の相場時とも比較。「投資家が保有するビットコインは2017年よりも32%増加しており、特に2020年3月から投資家の保有量が加速している」と継続的なトレンドであることを強調した。一方で取引可能なビットコインが2017年半ばと同程度の低さになっており、需要に対して供給が少ないことが価格上昇につながっている要因であるという。

チェイナリシス
(出典:Chainalisys「オレンジ色が投資家保有、黄色がトレーダー保有のビットコイン。青色はビットコイン価格」)

「現在の世界的な不確実性が続く中で、機能する資産は比較的少ない。ビットコインは現在、こうした資産の一つとして捉えられており、入手可能なビットコインは少なくなっている。」

北米の需要が牽引

グラッドウェル氏は北米でのビットコイン流入が3月中旬から大幅に増加していることに注目。2017年以降、他の地域と比較して、ビットコインの価格上昇が北米への流入と一致しているという。反対に価格が下落するとビットコインが流出する。現在の価格動向には北米の情勢が大きく影響していることを指摘した。

チェイナリシス

(出典:Chainalisys「オレンジ色のラインが北米へのビットコイン流入量」)

強気トレンドはいつまで?

一方でいつまで強気トレンドが続くのかという点についても解説。

マクロ経済の不確実性が緩和され、ビットコインを単に投機資産とみなしている投資家が利益を上げた場合、またはビットコインがデジタルゴールドとして認識されなくなった場合に、現在の市場は落ち着きを見せるのではないかと予想した。

マクロ経済については、新型コロナウイルスのワクチンが開発されれば不確実性が解消されるとした。またビットコインの保有者が分散型金融(DeFi)でビットコインを担保として利益を得ようとすれば、DeFiの動向に影響を受けるかもしれないと話した。