仮想通貨取引所コインチェック勝屋社長「19年度中の黒字化目指す」|強みは「優秀なエンジニア」

コインチェックは11日、金融庁から仮想通貨交換業の登録認可を受け、記者会見を開いた。コインチェックの勝屋敏彦社長は、今回の登録取得は「一里塚に過ぎない」と強調。コインチェックの利用拡大を図り、仮想通貨が弱気相場の中でも「収支を均衡させ、2019年度に利益を出せる体制を目指す」と語った

勝屋社長は記者会見の中で、今回の登録取得はあくまで「一里塚に過ぎない」とし、「(流出事件で)いったん失われた信用・信頼を取り戻すことが重要だ」と語った。

「登録については当社にとって一里塚に過ぎない。仮想通貨交換業は経営環境が激しく変わる業界。現状に安心することなく、内部管理態勢やセキュリティ体制に不断の努力をしていきたい」

コインチェックは昨年3月の業務改善命令への対応を進めてきた点を説明。コインチェックではすべての仮想通貨をコールドウォレットで管理しているほか、経営と執行の分離といったガバナンス体制の構築や顧客保護の体制を強化してきた。

コインチェックの記者会見時の説明資料より

「コインチェックは非常に急成長をしたITベンチャー。管理の強化というところまでは、十分ではなかった。マネックスグループがそこの知見をビルトインしてきた」(勝屋氏)

再び流出事件が行さないように、セキュリティについては今後も尽力することも強調した。

「1年間、セキュリティを高めて、不正流出事件が再び起きないように取り組んできた。ただ、不正流出はここまでやれば大丈夫というものはない。不断の努力を続けたい」(勝屋氏)

19年度には黒字化に

足元の収益の状況は、今年4~10月については取引停止していたのに加え、人員増強やセキュリティ体制の構築のコストもあり、収支が均衡するまでには至っていない状況だ。

「2017年は市場が活況だったが、足元はだいぶ取引量が下がっているのは否めない。今年は4~10月に販売を止めていた。収入はかなり落ちている状況」

「11月以降、(取引を)再開した。ボリュームは伸びているが、収支が均衡するところまでは至っていない」(勝屋氏)

コインチェックの記者会見時の説明資料より

それでも10月末からの新規口座開設や取引再開で、ビットコインの売買回数などのボリュームは「大きく伸びている状況」だ。勝屋氏は「しっかりと、取引所・販売所としてのビジネスを足固めしたい」と語った。

マーケティング強化によるユーザー基盤の拡大や、コインチェックのアプリ導入から取引開始までのサポート体制充実といった施策を通じ、利益を上げる体制を構築していく。勝屋氏は「19年度中には収支を均衡させて、利益を出せる体制にしたい」と語る

仮想通貨交換業者は、今回のコインチェックの登録取得で17社となった。今後も新たな企業がライセンスを得て、仮想通貨業界に進出する動きは進みそうだ。

勝屋氏はコインチェックの強みは「優秀なエンジニアが数多くいることだ」と語る。技術者の数は昨年1月時点の40人から1.5倍の60人以上に増加している。コインチェックのユーザーインターフェイス(UI)の良さといった強みを、技術力で磨きをかけていく方針だ。

まず足元では仮想通貨の交換業に注力して黒字化できる体制を目指すが、中長期にはイニシャル・コイン・オファリング(ICO)やセキュリティー・トークン・オファリング(STO)といった分野でのビジネス展開も考えていくとしている。

和田氏「当時はバブルのような状況」

今回の記者会見には、和田晃一良氏、大塚雄介氏も出席した。コインチェックがマネックス傘下となって以来、両氏は執行役員として、それぞれ開発とマーケティングの実務面を担当している。

和田氏は、昨年の事件からの1年を振り返ってどう考えるかとの質問に、当時は「ある意味バブルのような状況になっていた。今が仮想通貨の正常な状態ではないかと思う」と総括相場が落ち着いた状況だからこそ、腰を据えて未来への技術開発や投資を進めていくと語った

「(当時は)市場が活況で、ある意味バブルのような状況になっていた。いまは落ち着いた状態だろう。今が仮想通貨の正常な状態ではないかと思う」

「このような状況だからこそ、新しい技術や商品の開発など、未来への投資ができると考えている。この分野については、新しいコインであったり、証券のような仮想通貨について引き続き調査をしていきたい」

また大塚氏も、当時は「市場が熱狂していた」と語り、今は次の段階へ進むために技術の発展に努めていきたいと話した。

仮想通貨が弱気相場の中でも、和田氏は仮想通貨・ブロックチェーンの未来を確信しているようだ。今後はエンジニアとして、この分野での技術開発を進めていく考えを示した

「コインチェックのビジネスの出発点は、仮想通貨の決済をグローバルに行うことだ。ICOやSTOには、小さい企業がグローバルに資金調達ができる可能性もある。仮想通貨の技術を生かしていきたい」

「(仮想通貨の)一番の魅力は、グローバルで送金ができること。もちろんAML(マネーロンダリング対策)の対応をしつつだが、海外送金や個人送金については仮想通貨が一番優秀だ」