中国経済の弱体化によって、中国からビットコイン(BTC)への「大規模な資金流入」が数ヶ月以内に起こるのではないか。こう主張するのは、マトリックスポートの調査・戦略責任者マーカス・ティーレン氏だ。

ティーレン氏は「中国の投資家がビットコインに精通していること、そして中国経済が弱体化していることから、数ヶ月以内にビットコインへの大規模な資金流入が見られる可能性がある」と語る。

ブルームバーグがまとめた最新のデータによれば、中国の資本流出は8月に490億ドル(約7.2兆円)に達し、2015年12月以降で最大の月間資本流出となった。これにより、中国人民元に対するプレッシャーが増す可能性がある。

ティーレン氏は「米ドル/中国人民元の為替レートは、米国経済が強く拡大している一方で、中国経済の成長が弱いことから、17年ぶりの高値で取引されている」と述べる。「新型コロナウイルス後の消費回復は期待を下回り、経済を支えるための対策が十分に実施されていない。中国の企業は成長が見られない中で、利益率の低迷に苦しんでいる」とティーレン氏は指摘する。

中国の厳格な資本規制を考慮すると、仮想通貨が数少ない利用可能なチャネルの1つになる可能性があるとティーレン氏は言う。「仮想通貨は唯一の有効な選択肢の一つかもしれない」と彼は主張する。

ビットメックスの共同創設者アーサー・ヘイズ氏も9月20日のXへの投稿で同様の可能性を指摘している。中国資本がすでに金(ゴールド)に流入し、資本の一部がビットコインに「行き着く」だろうという期待を共有した。

実際、このような状況は2016年末にも指摘されていた。当時、中国からの取引高は、中国人民元の価値とビットコインの価格との間に関連性があると指摘され、ビットコインの価格は最終的に2017年末にピークを迎えた。

一方で、シンギュラー・リサーチの仮想通貨アナリスト、エドワード・エンゲル氏は、現在の中国の資本流出がビットコインに対して以前と同じような影響を与える可能性は低いと指摘する。「中国政府は資本流出を阻止するための方法がかなり巧妙になっており、人々が古い方法を使うとは考え難い」と彼は語った。

しかし、ティーレン氏は中国国内で仮想通貨をマイニングしたり、相対取引でテザーを購入するなど、中国で仮想通貨を利用する方法はまだ残っていると主張する。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン