仮想通貨レンディング企業のセルシウスのアレックス・マシンスキーCEOは、米国連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを計画しているという1月の噂の中で、取引戦略を「コントロールした」と報じられている。

フィナンシャル・タイムズの16日の報道によると、マシンスキー氏は仮想通貨市場の下落からセルシウスを守るために、個人的に個々の取引を指示した。セルシウス社のCEOは、ある事例で「数億ドル」相当のビットコイン(BTC)の売却を指示し、24時間以内に損失を出してそのコインを買い直したと伝えられている。

マシンスキー氏の行動は、セルシウスの当時の最高投資責任者(CIO)であるフランク・ヴァン・エッテン氏との仕事上の関係にも影響を与えた。同氏とは取引戦略をめぐって「何度も衝突した」と報じられている。フィナンシャル・タイムズは、マシンスキーCEOが「市場が悪化することについて高い確信を持っていた」ため、FRB会議の前に可能な限り「リスクカットを始める」ようスタッフに求めたと、この問題に詳しい人物の話として報じている。

当時の報道では、FRBは1月に利上げを実施する可能性があるとされていたが、中央銀行は3月まで利上げを実施することを明言しなかった。発表後も仮想通貨市場のボラティリティはあったが、主要トークンの価格は2ヶ月間暴落せず、5月にはBTCが3万ドルを割り込み、その後6月には2万ドルを割り込んだ。

セルシウスに詳しいとされる人物は、マシンスキーCEOは「トレーディングデスクを運営していたわけではいない」と主張。取引に直接関わらずに、市場について自分の意見を述べ、戦略に影響を及ぼしていたと述べた。また、別の人物は、マシンスキーCEOが「巨大なビットコインの塊に手を出し」、悪い情報に基づいて取引を注文していたと報じた。

マシンスキーCEOは、グレイスケールのビットコイントラスト(GBTC)など、仮想通貨に関連する投資商品の販売をブロックするために自分の権限を使用したという。フィナンシャル・タイムズは、GBTCに関するセルシウスの損失を削減することを目的とした取引が用意されていたと報じ、同社は2021年9月におよそ4億ドル相当の1100万株を保有していたが、マシンスキー氏はこれを拒否し、最終的に2022年4月に1億~1億2500万ドルの損失で売却したとのことだ。