監査打ち切りと3億の新しいトークン発行: テザーはどうなっているのか?

当記事は投資アドバイスやおすすめを含むものではない。すべての投資や取引はリスクを伴い、決断の際には自身でリサーチを行っていただきたい。

 

 テザーの内情は常に監視の的になっており、先週の3億の新しいテザートークンの発行により再び脚光を浴びている。テザーがなぜここ6ヶ月間論争の的になっているのかを理解するには、この仮想通貨の仕組みを思い出す必要がある。

 テザーによると、USDTトークンは1:1の割合で米ドルに「裏付け」されている。ここ6ヶ月の間、テザーは定期的に発行しているトークンを裏付けるだけの十分な法定通貨準備金を持っていないのではないかと常に批判されて来た。

 そのために、業界の批評家の一部は、新しいテザートークンの発行後に起こったビットコインの価格変動に特別に注目した。テザーが1ドルに等しいことから、ユーザーはテザートークンで様々な仮想通貨を購入して来た。これらのトークンが同価のドルによって裏付けされていないとしたら、特に仮想通貨の価格は、不釣り合いに釣り上げられて来た可能性がある。

主張の正当性がまた示された?

 テザートークンを裏付ける準備金に関する憶測を別にしても、先週の新しい3億のUSDTの発行と時を同じくして、またしてもビットコインの価格が6%反発した。

 このことが批評家からの反応を改めて促し、率直な発言をする匿名ブロガーBitfinex’edが激しいツイートで非難の先頭に立った。テザーと姉妹企業の仮想通貨取引所ビットフィネックスは12月に、批評家らに対して法的措置をほのめかした。

 今年1月には、パンテラ・キャピタルのジョーイ・クルッグCEOが、これらの反発がビットコインの史上最高値2万ドルへの価格上昇につながったと懸念を示した。

 

「このことはますます心配の種になっていきている。市場が下落するたびに、同じことが起こるからである。12月から1月にかけての反発の多くが本物ではなかったかもしれないことを意味する可能性がある」

 

テザーは主張に異議を唱えるも監査は未だ行われず

 17年12月のアメリカ規制筋による召喚状に促され、自社の米ドル準備金の監査を行うために、テザーはフリードマンLLPのサービスを再び受けることにした。しかし、それからひと月、テザーが監査法人と関係を打ち切ったとするニュースが明らかになり、監査結果は公表されることはなかった。そのことが不安を呼び起こし、批評家を呼び覚ました。しかし、ライトコインの創設者チャーリー・リー氏がツイッターで論戦に加わった。

 チャーリー・リー[LTC]
 @SatoshiLite
 先日の価格上昇は、銀行口座にある米ドルに裏付けされていないUSDT(テザー)の発行に促されたものだとする懸念が広がっている。@bitfinexと@Tether_toに対して、準備金の存在を証明するための第三者機関による監査を強く求める。正しいことをしてほしい。ありがとう。

 リー氏は、テザーが機能停止したら仮想通貨市場も破綻するとする懸念も静めたが、未完の監査に関して公式声明が出されていないことは、まだ不安の種だ。

 

公式監査は一度もなし

 米商品先物取引委員会(CFTC)による召喚状の前に、テザーは彼らの言うところ、迅速に監査を行うためにフリードマンLLPを雇った。そしてテザーは、同社のウェブサイトでその件の発表に添付する形で覚書を掲載した。彼らはそれが公式の監査や監査証明契約ではないとも述べたが、批評家の懸念を和らげることを望んでいた。

「私たちはコミュニティが、添付された覚書をそのまま受け取ってくれることを望んでいる。つまりそれは、テザー有限責任会社の透明化メカニズムをさらにプロフェッショナルなものにするために、現在進行中の取り組みの一部として、弊社の現金の保持状況と発行済みおよび流通済みのトークンの暫定的な分析を提供するための私たちの誠意ある取り組みである」

 

 同文書によれば、17年9月15日時点で、テザーは銀行口座に4億4290万ドルの準備金を持ち、4億4200万強のテザートークンが発行済み、もしくは流通していた。その時点では、テザーはその準備金を明確にしていた。何がテザーとフリードマンLLPの関係断絶につながったのかは未だにはっきりとはしないが、テザーが最新の監査に対して提示されたタイムフレームに不満を持っていたとブルームバーグは報じた。

 

「テザーの比較的シンプルな賃借対照表に対して、フリードマンが実施していた非常に詳細な手法を考慮すると、監査を妥当な期間で終えることができないということが明確になった」

 コインテレグラフは、フリードマンLLPが発表した覚書について、審査した米国会計士で監査人のアビシェーク・シャー氏にコメントを求めた。同文書はテザーが当時必要な米ドルを保持していたことを示すものだとシャー氏は語る。

 しかし、テザーが提示されたタイムフレームを理由に監査を打ち切ったことは懸念材料であるとシャー氏は考えている。

 

「テザーが挙げた理由は明確、正確ではなく、受け入れられるものではない。監査は期日までに終える必要はあるが、監査には必要なだけの時間が与えられるべきである。妥当な根拠ではなく、個人的にも、自分の監査キャリアの中でそんな理由は聞いたことがない」

コミュニティは監査を要求すべき

 シャー氏はさらに、世界最大規模の仮想通貨取引所ビットフィネックスが、テザーを裏付けるのに十分な準備金を持っていることは十分にあり得ると認めた。それでも、コミュニティからの圧力だけが透明性のある監査につながる唯一の道であると、シャー氏は考えている。

 

「仮想通貨コミュニティは団結して、テザーの完全で独立した監査を要求するべきだ。リサーチによって、ビットフィネックスが十分な現金の準備金を持つのに必要な取引手数料、融資手数料を儲けていることが示唆されている。ビットメックスのリサーチは、現金の準備金を保有しているとされる銀行を突き止めることができた。必要な準備金を持っている可能性があることは疑いがないが、監査は必要で、それを拒否することは不安定な状況を生み出すだけだ」

さらにシャー氏は、新しいテクノロジーのために仮想通貨取引所の監査が難しすぎるという議論を「意味をなさない」と一蹴する。

「これは完全に冗長な議論である。私たちは、ずっと複雑な業務を扱い、アルゴリズム取引を利用して、ずっと巨額の時価総額を持つデリバティブや先物市場で取引する企業を監査してきた。私たちの会社にも、そしてすべての評判の良い監査法人にも、監査人を補助するためにフローチャートのブループリントを作る独立したIT部門がある」

恐れることは何もない?

 シャー氏が指摘するように、テザーとビットフィネックスが誠意を持って対応をしていると考えている筋もある。

 今年2月、ビットコインのデリバティブ取引所ビットメックスのレポートは、テザーが流通するすべてのUSDTトークンを裏付けるのに十分な準備金を確かに持っていることを示唆した。テザーは米ドル準備金を、プエルトリコの銀行口座に持っている可能性もあると、ビットメックスは付け加えたが、同国は仮想通貨のタックスヘイブンと考えられている。ビットメックスの見解では、3100万ドル相当のハッキングを受けた後のテザーによるハードフォークは、開発者がその台帳、トークン、ファンドを完璧に掌握していることを示した。

As Shah reminds us, there are entities that believe Tether and Bitfinex are acting in good faith.

「(このことは)実質上テザーが台帳を完全にコントロールしていることを示した。彼らがハードフォークを望むままに強行し、いかなる取引も覆すことができるからだ。以前からテザーの管理力に対していかなる疑念もなかったかもしれないが」

 17年12月19日の同社ウェブサイト上の発表で、テザーはハッキング後、同社のウォレットサービスは徐々に回復していると述べた。さらに、新しいプラットフォームの開発も公表した。ウェブサイト上には、この新しいプラットフォームに関してさらなるアップデートはない。

 ユーザーは米ドルやその他の仮想通貨のために新しいテザートークンを売買するのに、他の取引所を利用するように指示を受けた。テザーオムニエクスプローラで見られる通り、USDTは発行され続けている。

 

テザートークンの最新の発行、監査法人フリードマンLLPとの関係打ち切りについてテザーに対して正式なコメントを求めたが、当記事掲載時点では返答を得ていない。