イーサリアムの共同創始者であるヴィタリック・ブテリン氏が、イーサリアムの改善提案「EIP-1559」に反対する一部マイナー達に対する防御策を公開し反対派をけん制している。
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これら反対派マイナーはイーサリアムの転覆を意図しているわけではなく、力を結集することで攻撃が可能であるということを示したいだけだと主張している。
ヴィタリックをはじめとするイーサリアムの開発者たちは、これを受け防御策を公開。「ethpow(イーサリアムのプルーフ・オブ・ワーク)または(PoS移行に向けて立ち上げられた)ビーコン(チェーンの)クライアントにほとんど手を加えることなく、迅速に統合を行うことができるメカニズムを説明する」と述べている。イーサリアム2.0への移行は、予想以上に早く実施することができるという「クイックマージ」構想だ。(イーサリアムは2020年12月、ビーコンチェーンの立ち上げに伴い、ETH2を始動させている。)
EIP-1559をめぐるせめぎあいについて分析を公開しているステータス社は「51%攻撃の可能性に対する解決策をイーサリアムコミュニティはすぐにまとめたが、その先頭に立ったのがヴィタリックだった」と指摘している。ステータスはイーサリアム上のアプリを開発運営するグループだ。
今回公開された文書は「イーサリアムのクライアントに限られた変更を加えるだけで、プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへと迅速に移行し、イーサリアムが「クイック・マージ(迅速な統合)」を実行する方法をヴィタリックは説明している」。
イーサリアム2.0は高騰するガス代問題の解決策として、ネットワークをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)のマイニングコンセンサスに移行するための取り組みで、何年も前から計画されているものだ。
ステータス社によると、ヴィタリックが今回公開した提案はこの移行を前倒しで進め、システムの不具合や詳細を事後的に解決することを選択するものだという。
ちなみにステータス社は、EIP-1559反対派は技術的にはすでに51%の攻撃を行うのに十分な力を蓄えていると分析している。今後の動向に注目が集まっている。