ブロックチェーン技術企業ブロックストリームは、最大5000万ドル(約72億円)を調達し、セカンダリマーケットで過小評価されていると見なされるマイニング機器を購入・保管する計画だ。

ブロックストリームのマイニング部門責任者ジェームズ・マケドニオ氏はコインテレグラフとの取材で、ビットコイン(BTC)とASICマイニング機器の価値に「巨大な乖離」があるとし、同社の計画を明らかにした。

ブロックストリームは、ルクセンブルクに拠点を置くデジタル証券マーケットプレイスのSTOKRと提携し、ブロックストリームASIC(BASIC)債券を立ち上げる。マケドニオ氏によると、ブロックストリームは初めに「シリーズ1 BASIC債」で500万ドルを確保し、ASICを大量に購入・保管した後、2024年のハードウェア需要増加に伴い市場に再販する予定だ

このBASIC債は、認定された投資家を対象に利用可能となる予定だ。マケドニオ氏は、ビットコインの次の半減期が2024年4月に予定されていることを考慮に入れ、12~18ヶ月でリターンが見込まれると語った。

ブロックストリームは、BASIC債がビットコインベースの投資手段であり、「ビットコイン・オン・ビットコインのリターン」を生み出すことを目指しているとも指摘している。また、投資の大部分がBTCで行われると予想している。

マケドニオ氏によると、ビットコインのようなプルーフ・オブ・ワーク(PoW)型の仮想通貨をマイニングするための専用ハードウェアであるASICマイナーの価格は、2021年12月のピーク時に比べてほぼ10分の1になっている。

「ビットコインの価格は半分になったが、ASICは10分の1になった。歴史的に見て、両者は高い相関性を持っていた」とマケドニオ氏は指摘する。

ブロックストリームのチームは以前、ASICマイナーの価値は通常、ビットコインの価格動向と相関し、BTCの価格上昇がASICマイナーの価格上昇を引き起こすと指摘していた。

マケドニオ氏は、マイニングハードウェアの価格がビットコインの最近の価格回復に比べて停滞している点について、いくつかの要因があると語る。

「多くの企業がビットコインを担保に過度にレバレッジをかけていた。その結果、ビットコインの価格が下がったときに彼らは破綻し、一部の貸し手は大量のマイナーの在庫を抱え、それが市場に押し出された」

また2022年のエネルギー価格の高騰は、マイナーにとってのビットコインの収益性を厳しい状況に追い込み、ASICマイナーのセカンダリマーケットでの供給過剰に一役買った

マケドニオ氏は、ASICマイナーの価格回復が見られないのは、機器を稼働させる能力の不足と、さらなるハードウェアを取得するための資金調達の困難さが原因だと指摘する。

ブロックストリームはASICハードウェアの価格が回復を見せると予想し、ASICハードウェアを購入・保管するための資金を調達する計画だ。

ブロックストリームは、500万ドルのトランシェを通じて目標の5000万ドルを調達する予定だ。マケドニオ氏は、同社はセカンダリマーケットで最も効率的な機器を取得するつもりだが、ビットコインの強気相場が発生すれば、それが効率の低い機器に対する需要を高める可能性があると付け加えた。

「もしビットコインが7万ドル以上になれば、人々は利益が大きくなるため、手に入るASICをすべて手に入れてマイニングを始めようとするだろう」

ブロックストリームは主にビットメインとマイクロBTのマイニング機器を購入する計画で、マケドニオ氏は、これらのハードウェアが普及しており、歴史的に再販価格が良好であることを強調した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン