定評のあるテクノロジー企業が「産業革命4.0への前進」を標ぼうする新しいブロックチェーン基盤のプラットフォームを使って、製造業参入への障壁を切り崩している。

 シリコンバレーで5年前に設立された「シンクファブ(SyncFab)」はアメリカのエネルギー省クリーンエネルギー・スマートマニュファクチャリング・イニシアチブおよびサンレアンドロ、サンフランシスコ、オークランドの3つの都市と協働。チームは小規模な製造業社を助けることを目的とし、スマートテクノロジーを使って簡単に会社紹介をしたり入札を円滑化するのを助ける。

 また、同社が開発するプラットフォームを使うと、例えば精密部品を探している購買者も地元の提供業者を見つけるチャンスが高まる。ブローカー、エージェント、そして非効率的なソフトウェアは時間もお金もかさむ。調達プロセスを劇的に効率化することで経費も削減できる。地元での調達は購買者がコミットしなければならない部品の最小数を減らし、同時により責任のある環境に配慮した供給チェーンを生み出す、とシンクファブは主張している。

 このスマート製造ブロックチェーンの中心にあるのがMFGとよばれるユーティリティトークンだ。プラットフォーム上の決済通貨となるだけでなく、オークションにはやく参加し競争力のある料金を提示する業者に報酬を与える仕組みや、ブロックチェーンで製造記録を維持する機能をもつ。

購買者にとってのメリット

 シンクファブは経費を削減しつつ産業用IoT内でスマートテクノロジーに投資したいと考えている前向き思考な企業をターゲットにしている。

 近代化のために何億ドルもの資金が投資されてきたが、そのような投資ができるのは大規模な多国籍企業に限られる。マッキンゼーによれば早くて25年にはIoT産業は4兆ドルの規模に達すると予想される中で、小規模企業はさらに遅れをとる危険にさらされている。

 シンクファブのプラットフォームは購買者の見積依頼書(RFQ)を商品を作るための技術的専門知識、機械、そして能力のある製造業者とマッチングすることで、あらゆる規模の購買者の調達コストを大幅に削減する一助になることを目指している。これは購買者の求める基準と候補企業の注文履歴と以前の商品デザインを比較することで可能になる。商品仕様や素材の必要条件をリアルタイムに変更できるので、支出につながる間違いや遅れをなくすことができる。調達プロセスをより透明にすることにもつながる。

 シンクファブのホワイトペーパーは、ビジネスが直面する最大の脅威は知的財産の窃取であると述べている。同社は自社のプラットフォームが最高レベルのセキュリティプロトコルを用いてブロックチェーン上のこれらの資産を暗号化し、サイバーセキュリティ専門のスタッフを雇う予算を持たないユーザーに守りを提供することで、こういった不安を解消することができるとしている。

製造業者へのメリット

 MFGトークンという形での素早い入札への報酬に加えて、シンクファブのプラットフォームは製造業者が最も得意とすること、つまり製造に集中することを可能にするという。これは、落札後に購買者から投資を前払いで受け取り、プロジェクト開始前に顧客のバックグラウンドを探る時間を短縮できるためである。

 シンクファブの「調達項目リスト」は購買者の予算情報を含み製造業者にガイダンスを与えている。時には、購買者は予算よりどれくらい多く払う用意があるかを示す「許容額」に関する情報も含まれる。見積もりが高すぎる場合には入札者は自動的に競争から除外されるが、シンクファブはオファーを改定するチャンスを製造業者に与えているので取りこぼしも減る。

トークンセールが進行中

 シンクファブのMFGトークンの販売は18年3月15日まで続く予定だ。3月11日前にMFGを購入した者は5%のボーナスを受けることができるという。

 同プロジェクトはトークンセールのソフトキャップ1万5000ETH達成に成功。ハードキャップは3万3000ETHとなっている。これが達成されるとサプライヤーへのライブデータフィードや、リアルタイムのオーダー進捗アップデート機能などが追加される予定だ。

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