新しい技術が生まれればそれを悪用する者が現れる。最新の手口では、AI技術を悪用したフェイク動画「ディープフェイク」がある。ウィットネス・メディア・ラブは、72ページに渡る報告書を公表し、その中で、ディープフェイクの脅威に対抗できる技術のひとつがブロックチェーンだと述べている。

ディープフェイク動画とは、AIを活用して現実のように作られた動画で、悪用すれば、犯罪者などが個人の信用を落とすような動画を簡単に操作でき、例えば、大統領や著名人が実際に発言しているかのようなフェイク動画を作成することも可能とされる。

ブロックチェーン技術は、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨を生み出したデータベース技術であり、何が「ホンモノ」であるか検証して承認することに優れている、といわれている。例えば、ある人物が別の人物に実際に仮想通貨で100ドルを送信したのかどうかなどは、オープンブロックチェーンにアクセスすれば簡単に確認できる。

ディープフェイク動画対策の「銀の弾丸」

ウィットネスは報告書の中で、ディープフェイク動画の脅威への対策としてこのブロックチェーン技術を提案している。例えば、画像や動画や音声は暗号化して署名し、ジオタグ(位置情報)や作成に着手したタイムスタンプを付随できる。こういった「検証されたキャプチャ」が数々の確認を実施し、送信されたデータがそのソース素材であるか確認する。その該当メディアは、その画像または音声データに基づく暗号化されたハッシュがアサインされる。それとソースハッシュを照合することで、そのデータが操作されたものかどうかがわかると説明している。

つまり、ブロックチェーンは、仮想通貨トランザクションの要領でメディアのソースを確認できるとしている。しかし、それは我々が技術的なシステムを信頼することが前提となる。メディアフォレンジックの専門家であるハリー・ファリド氏は、その複雑さから、ディープフェイクに挑むいかなるブロックチェーンソリューションの完成にはまだ何年もかかると指摘している。

ブロックチェーンは、その管理構造に対する高度な攻撃に対してまだ不安定だ。しかし、ウィットネスのシニアコーディネーターのコリン・フェイフ氏は、例えばスーパーの野菜は、プラスティックの袋などでパッケージ化されてシールが貼られており、その中身や実際の味はどうであれ、それがあなた自身の手元に届くまでに改ざんされていないと確認することができる。これと同じ要領を動画などにも適応できると説明している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン