Storjcoin X (SJCX)は、ユーザーがDriveShareアプリをMetaDiskと同様に利用することで、ストレージの購入やレンタルが可能な、Storjネットワークにおいて、 ”燃料”として必要なトークンだ。SJCXは、グラフィックユーザーインターフェース(GUI)のリリースによって人気が出始め、コンピューターを使う一般層にも開発版が最終バージョンに到達する前にテストできるよう提供されている。

 

Storj―未来のクラウドストレージ、はDriveShare用にマルチプラットフォームなGUIを実装した様々なアプリをリリースしていて、ユーザーは特別なITの知識なしにシェア可能なハードディスクの容量を利用することが出来る。以前はコマンドラインによるバイナリのみだったため、使うには専門的な知識が必要だった。StorjによるグループBはまだベータ段階にあり、ユーザーはストレージを無料でシェアすることで、どれだけのストレージ量、どれだけの時間稼働させていたかに応じて、潜在的にリアルにSJCXを得ることが出来る仕組みだ。

 

テストグループBはネットワークのキャパシティや稼働時間のモニタリングに集中していて、個々のユーザーのハードディスク上にあるDriveShareによってローカルに生成されるテストファイルを使用する。これは今年の終わりまで続く見込みとなっており、来年にはテストグループBが始まり、実際にユーザーファイルに対して利用され始める予定だ。

しかしながら、テストグループBが始まってから既に4つの支払いがあり、合計347,000 SJCXにも上っている。チームによれば、テスト段階終了前に800,000 SJCXの配布が可能だという。

 

プラットフォーム開発のための資金集めが完了したため、トークンセールが行われ2014年7月からSJCXが全てのアカウントにおいて利用可能となっている。Poloniex含め、その取引が公開されていて、過去アップダウンはあったものの今回のリリースによってその価値は約30%もほんの数分で跳ね上がり、まだまだ勢いは衰えていないようだ。

 

 

今のところ、”ファーマー”がDriveShareを利用しテストグループBから報酬を得るには、Counterwalletのアドレスに10,000 SJCXは残高がある必要がある。それ以下であっても無料で利用することは可能だが、報酬を受け取ることはできない。これはトークンセールが行われた当時、対象者は誰でもStorjのソフトウェアに早期アクセスすることが可能だったためだ。また、誰かが数十のノードをスピンアップし、ネットワークを攻撃したりして、故意にSJCXの残高を操作できないようにする目的もある。11月28日の急激な価格の高騰は、主にGUIの機能がリリースされたことによるものだと思われるが、プロジェクトを支援する人たちの中には、まだ価格が安いうちに購入しようとする層と、報酬目的にテストグループBに早めに参加しておこうと思うユーザー層がいたようだ。

Storjのネットワークは、既に15000テラバイト以上のストレージがを430人のファーマーに提供しており、その ”燃料となるコイン”はPoloniex取引上において、最も古く価値のあるものの一つだ。

リリース後、Storjは開発チームがしっかりとしたものであるということをきっちりと示した結果だ。コインテレグラフは、Storj創設者兼リード開発者である、Shawn Wilkinson氏へのインタビューを敢行した。

 

CT: Storjは、ブロックチェーンテクノロジーを利用する上で、最初の分散型クラウドストレージのプラットフォームとして一歩リードするだろうと噂されていますが、具体的なリリース日は既に決まっていますか

 

Shawn Wilkinson氏 (以下SW): 所謂P2P関連の機能を出そうとしていて、通信とファイル交換は問題なかったのですが、結局無効化しました。今年の終わりごろにはテストグループBが終わり、来年の正月終わりごろからテストグループCが始まります。しかし具体的なリリース日については述べられません。

 

CT: 他の競合社SIAのソフトウェアを使おうとしたことがあったのですが、何が悪かったのか、ルーターのポート開放から色々試したのですが動きませんでした。小一時間いじっていたのですが、ダメでした。私は30代からコンピューターを使い始めたのですが、Storjのソフトウェアは私のような人間にも使いやすいものなのでしょうか。

 

SW: ええ。できるだけシンプルであるように心がけていますし、ポートフォワーディングなどの手間は必要ありません。また、SIAにはソフトウェアを実行する人間が10人しかいないのもそれが理由かもしれません。Storjには400人以上のスタッフが関わっていますのでより容易に実現できます。しかしユーザーに具体的に明示するには時間がかかりますし、リリース日を急ぐつもりはありません。

 

CT: Storjのシステムというのは、内部のソースから想起できるようにできているのでしょうか。例えば、ファイルを置いて、ダウンロードすることができて、ホットリンクを貼って、などHTMLのページのように、別のリソースに関連付けられた画像のURLのリンクを容易に追ったりすることは可能なのでしょうか。

 

SW: ええ、あなたの他にハッシュと暗号キーを共有する人間がいて、且つそれが静的である限り、ネットワークからウェブコンテンツを供給するエンドポイントが我々にはあります。ドキュメント、写真、ビデオ、など…ただ、ブロックチェーンは不変なので編集などはできません。ドキュメントなどを保存する際は、一端古いデータを消去してから新しいものが作られます。

 

CT: では、画像データをドキュメントに貼ってリンクした場合、別のものに差し替えすることは可能なのでしょうか。同じ場所に保存されないということは、別の画像データが別個増え、ブロックチェーン上では別のものとして扱われてしまうと思うのですが。

 

SW: ええ、差し替えはできません。ただ新しい画像データを作って、文字通りの意味で”差し替える”ということになります。ただ、Storjのアプリケーション経由でドキュメントを作成するのであれば、そのシステム的な違いはわかりませんし、問題ありません。単純にアプリケーションがバックグラウンドでどう動作するのか、といったデータの扱い方の問題ですから。

 

CT: お時間ありがとうございました。プロジェクトの成功を祈っています。

 

 

競合サービス

 

StorjにはSIAやMaidsafe、Ethereumなど少なからず他に似たようなサービスと競合している。

SIAもまた、アプリ開発によってストレージのキャパシティを統合しようとしている興味深いプロジェクトの一つだ。そのために、独自のアプリケーションを作成する開発者を支援する分散型アプリケーション用のプラットフォームである、Criptiとパートナーシップを結んでいる。Criptiはブロックチェーン上に完全分散型のアプリケーションを展開するフルスタックソリューションを提供しており、一方で安全で簡単に取引が数秒で行いたいと願う人にも素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供している。

しかし、10月にGUIクライアントをリリースしたものの、Storjの影で現在SIAのプロジェクトは後れを取っているようだ。フォーラム上にはアクティブメンバーが欠けており、Poloniex関連のSiaCoinなどの説明もあまり正しくはされていなかったようだ。6,900 Satoshiに到達したところで急速に下落し、現在の価値は1 SiaCoin、約5 Satoshiまでゆっくりと落ち込んでいる。

MaidSafeは”分散型インターネット”を世界に、とうたうオープンソースプロジェクトだ。メンバーは16人おり、その8年間の業績をウェブサイト上にこう自慢げに記している:

 

“8年の開発期間を経て、MaidSafeのネットワークはパブリックベータのテスト段階へと近い所まできていますし、コードベースのかなりの部分がオープンソースでダウンロード可能となっています”

 

Safecoinsは過去紆余曲折あったものの、現在はかなり軌道には乗っているようだが、ウェブサイトで確認する限りは、プロジェクトのファイナルリリースがいつごろになるかなどは全くわからないようだ。

 

“この点、マイニングの速度に関するものは一切提供することが出来ません。単純に任意の精度で計算をするには変数があまりにも多すぎるのです。しかし、テストとしてネットワークを立ち上げ今後数ヶ月のコースを経て、このテストデータを発表することで、ユーザーの求めるよりより状態へと導いてくれることでしょう”

 

イーサリアムはおそらく現在最も危険な競争相手だ。Ethereum Frontierというソフトウェアのベータ版を数ヶ月前に発表している。

 

“Frontierはイーサリアムネットワークへの早期アクセスを可能とするものです。バグやセキュリティ上の問題などがまだあるかもしれません。ダウンロードする前に下にリンクされている利用条件に全て同意していただく必要があります”

 

ETHコインはPoloniex取引場で最も取引されたアルトコインとして今のところ成長し続けており、プロジェクトは好調なようで期待できそうだ。 ”分散型ソフトウェアプラットフォーム”として提案されているが、ソフトウェアを実行するためにはアプリとデータが実行可能な十分なストレージの容量をユーザーが確保している必要がある。

 

EthereumもまたMicrosoft、IBM、Samsungなどの大企業と ”Adept”と呼ばれるプロジェクトに共同で取り組んでいることも特筆すべき点だ。