世界最大の資産運用会社ブラックロックは、ラリー・フィンクCEOの後任候補として、ビットコインETFに否定的な考えを持つとみられるマーク・ウィードマン氏を昇進させた。ウォールストリート・ジャーナルが9日に報じた。ウォール街の大手金融機関のフィデリティやインターコンチネンタル取引所などが仮想通貨業界への参入を続々と表明する中、「ウォール街の巨人」ブラックロックについてもビットコインETFなどをめぐって今後の動向に注目が集まっている。

「ビットコインETFの意味が分からない」

ウォール・ストリート・ジャーナルが入手したメモによると、ブラックロックは、iShares ETFやインデックス投信などを牽引してきたマーク・ウィードマン氏を、戦略、マーケティング、そして国際ビジネスのオペレーションを統括する責任者に昇進させた。フィンクCEOの後任候補は他にも数名いるものの、ウィードマン氏は今後フィンクCEOに直接レポートする立場となり、有力な後任候補と見られている

コインテレグラフでも既報の通り、フィンクCEOは昨年11月に仮想通貨ETFに関し「一生やらないということはない。合法になったら、イエスだ」と語り、業界の成り行きを静観する考えを示していた。しかし、後継候補のウィードマン氏は2017年10月時点で否定的な考えを表明した。

[ビットコインETFに関してはとにかく意味が分からないんだ。なぜかというと、アクセスが困難な商品の取引だからだ。もし仮にビットコインが成功しても、念の為にいうと私の専門外で、推薦しない。それでも、もし仮に成功するとすれば、なぜアクセスするためにETFが必要なのだろうか?

大幅な人員削減

一方、ブラックロック関連ニュースで最近注目を集めているのは、大幅な人員削減のニュースだ。11日付のブルームバーグによると、同社は数週間内に全体の3%にあたる約500人を解雇する予定。2016年以来で最大規模の人員削減になるという。どの部門が人員削減の影響を最も受けるかは分かっていないそうだ。

日経新聞によると、フィンクCEOは去年10月に7〜9月期の決算を発表した際、「金利の先高観もあって機関投資家がリスクオフの姿勢を強めた」と発言。運用資産は9月末で6兆4400億ドル(約700兆円)と前年比で8%増えたが、7~9月期だけで見ると、約31億ドル(約3300億円)の資金が流出した。流出は約3年ぶりで、日経新聞は、個人向けはETFを中心に流入が続くが、機関投資家は資金を引き揚げていると報じていた。

ETFとは、Exchange Traded Founds(上場投資信託)の略。東証株価指数(TOPIX)や日経平均、金や原油などのメジャーな指標と連動した投資信託であるため値動きの把握が容易であり、個別の銘柄への投資を行うよりはリスク低減された投資対象である。

仮想通貨用語集