アイスランドの有名歌手ビョーク(51)が11月24日に発売を予定している最新アルバム「ユートピア(理想郷)」について、仮想通貨での購入を受け付けることがわかった。

  今回ビョークが受け付けるのはビットコイン、ライトコイン、DASHとオーディオコイン。

  また、購入者は100オーディオコインを受け取ることができる。オーディオコインは2年前に開発された音楽業界向けの仮想通貨で、ビョークの発表から数日で2倍以上上がっている。ビットコインとは異なる、POS(プルーフ・オブ・ステーク、所有割合証明)とよばれる仕組みをベースとした仮想通貨だ。

  ビットコイン価格の急激な上昇を背景にしたマーケティング戦略のように見えるが、今回ビョークに技術提供をしている英ブロックプール社は次のように延べている。

本当にこれはビョークのマーケティング戦略ではない。今回の決定は、彼女が先陣を切るリーダーになろうという決意表明だ。彼女らしいプロジェクトだし、私が関わっていなかったとしてもビョークはこの分野でのリーダーになっていただろう。また彼女のチームも仮想通貨でクリエイティブなことを展開していただろう。

 同社CEOのケビン・ベーコン氏はまた、今回のプロジェクトについて次のように述べている。

  仮想通貨でアルバムを買えるという話ではなく、仮想通貨へのゲートウェイを開ける試みだ

  今回のビョークの試みについては、アルバム購入者に無料配布されるオーディオコインが、ティーンエージャーやアーティストにどう活用されていくかが一番のポイントだ。現在、ティーンエージャーにとって仮想通貨はとっつきにくいものだ。バイト代で買うか、親を説得して買ってもらうしかないが、相場の動きが激しいため、参入障壁は高い。

  そこでティーンエージャーにも手が届くアルバムにオーディオコインをつけることで、仮想通貨が本来有する若者との融和性を試すことができる。特に、SNS、コンサート、ファンイベント、やVR上での活用が期待されている。

  同アルバムに収録予定の「The Gate(門)」のミュージックビデオは、広がろうとしている仮想通貨の世界を暗示するような内容だ。「癒えた胸の傷が門に変貌する」という歌詞にあわせ、バーチャル世界にいるビョークの胸元からあらわれたサイケデリックな輝く物体が、透明人間のような他人の胸元にうつされ、再び返される。ビョークと、透明な他人と、この輝く物体が交互に舞って、「バラバラになったパーツ、散らばった光がプリズムを通過し、再び一つになる」かのように一体化する。

  ビョークは今回のアルバムで、仮想通貨が予見するユートピア(理想郷)の門を開こうとしているのかもしれない。