仮想通貨ビットコイン(BTC)関連技術の開発に注力する企業ブロックストリームの代表で、「仮想通貨の父」の一人と目される暗号学者アダム・バック氏によると、「ビットコインタイム」は、ドットコム時代初期の「インターネットタイム」よりも速いという。6月26日にサンフランシスコで開催されたカンファレンス「ビットコイン 2019」において、発言した

バック氏によると、BTCは、サトシ・ナカモトの分散型ビジョンと、コインの供給曲線を修正することで、ハイパーインフレに対抗するための解決策を示したと述べた。

また同氏は、「BTCは、人々の予想を超えて、はるかに速く先に進んでいる」と指摘。「ドットコム時代初期の『インターネットタイム』」に触れ、「ビットコインタイムは(中略)さらに速くなっているようだ」と述べた。

インターネットタイム(スウォッチ・インターネットタイム)は、十進法を用いた時間表現(十進化時間)で、1日を1000(000から999)の「beat」(Swatch Beat)という時間単位で区切っている。1beatは86.4秒(1分26.4秒)に相当。

バック氏は、暗号技術分野における新しいアイデアや実装についていくのは、各種テクノロジーに熟知した人にとっても挑戦的であり、革新的な分野はまだ実現されていないと指摘した。

「ブロックチェーンと無記名のデジタル通貨はまったく新しい構成要素であり、スマートコントラクトと関連がある。新しいパラダイムで新しいプログラミング言語を習得するのと同じようなもので、人々が自然にそれを理解するには、しばらく時間がかかる」

また、ビットコインの取引スピード改善や手数料削減を目指すライトニング・ネットワークのようなセカンドレイヤーを開発が著しく進んでいる分野として挙げたほか、ステートチェーンのような新たな洞察と利益をもたらす技術もあると指摘した。

すべての暗号技術においてプライバシーとセキュリティに関するトレードオフが存在するものの、従来よりも高いセキュリティと効率的な署名処理を実現できるシュノア(Schnorr)署名のように改良が続けられていることを強調した。

「すでに存在している技術について、改めて大きな発見があることが私を驚かせる。(中略)我々が構築しようとしているものは、まだ初期段階にある。(中略)また、基礎構造にある特性を保持したまま、上部レイヤーに数多くのものを構築できる点は驚くべきことだ」

バック氏は、仮想通貨が急増している分野を、インターネット接続で利用されている通信プロトコル(通信規約)「TCP/IP」で例えた。TCP/IPは、単一の相互運用可能な標準規格、また価値交換のための共通語となっていると指摘した。


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版