ビットコイン(BTC)の大型アップデートである「タップルート(Taproot)」が12日、重要なマイルストーンを達成した。マイニングハッシュレートの90%が現在の難易度調整期間(リターゲット期間)内でのプロトコル改善に支持を表明したことで、タップルートの有効化に向けた「ロックイン」の段階が完了したことが証明された。

タップルートとはビットコインのプライバシー機能とスケーラビリティの向上を図る技術だ。新たなスクリプト言語であるTapscriptを組み合わせることで、ビットコインのスマートコントラクトで課題となっていたプライバシーが強化される。

タップルートの実施に向けては、ビットコインネットワークの基盤となるソフトウェア「ビットコイン・コア」が5月1日に最新バージョンである0.21.1をリリースしており、ここにタップルートのアクティベーション・コードを取り入れている。マイナーはこのバージョンにアップデートし、シグナルビット(アップグレードの支持を表明するもの)をブロックに取り入れること(シグナリングという)でタップルートの支持を表明する。

8月11日までにハッシュレートの90%が最新バージョンにアップデートされれば、今年11月ごろに予定されているブロック高709632で、タップルートの本格的な実装が始まるとされていたが、期限よりも早く支持が確定した形だ。

ビットコイン開発者のハンプス・ショーベリ氏が作成したウェブサイト「Taproot.watch」のデータによると、ロックインの段階が完了したことが示された。

認識されているすべてのマイニングプールがシグナルビットをブロックに含めており、マイニングプールの中ではSlush Poolが最初に指示を表明。Slush Poolがタップルートの指示を示したブロック687285をマイニングした。

ハッシュレートのシェアでビットコインマイニングプールのトップ2であるアントプールとF2プールも、タップルートをいち早く支持していた。

ビットコインコアの開発者であるピーター・ウイレ氏は、コインテレグラフに対し、タップルートの起動手順について次のように説明した。「BIP341によると、一度ロックインすると、ブロック高709632で自動的にアクティベーションが行われる。これは2021年11月14日頃だ」

ウイレ氏はタップルートの重要性について次のように話した。

「2017年8月にSegwitが作動して以来、初めてのコンセンサス変更だ。これはビットコインのスクリプト機能を拡張することで、特定の機能(特にマルチシグやレイヤー2のようなより複雑なアプリケーション)をより安価な方法で可能にする。正確なスペンディングルールが何であったかを隠すことで、よりプライベートなものにできる」

ウイレ氏によると、11月の起動は始まりに過ぎず、プロトコル改善を活用するためのソフトウェアを構築する作業が続くという。

6月12日のビットコインの歴史的意義は、タップルートだけでなく、1つのブロックでマイニングされたトランザクション数が過去最高になったことも同時にあった。Blockchairのデータによると、ブロック高687249で4075件の取引が行われた。

Source: Blockchair.com

この記録的な数字は、6月11日に記録された1ブロックあたりの平均トランザクション数の約2倍であり、ビットコインブロックの一般的なトランザクション数の4倍だ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン