ビットコイン(BTC)価格は2019年6月以来で初めて13,000ドルを突破した。仮想通貨をサポートするというペイパルのニュースを受け、市場全体の投資家心理は短期間で楽観的になった。ペイパルのニュースが報じられた直後、ビットコイン価格は12,300ドルから13,200ドルまで上昇した。仮想通貨市場の中期的な見通しは依然としてポジティブだが、アナリストからは反落の可能性を指摘する声も出ている。

ビットコインは10月8日から13日間で25.5%の急騰を見せた。当初、BTCの上昇ラリーは、アルトコインと分散型金融(DeFi)トークンからの利益がBTCに還流することから始まった。仮想通貨デリバティブ取引所FTXのサム・バンクマン・フライドCEOのような業界プレイヤーは、DeFiに対して慎重な姿勢を示している。DeFiトークンに対するショートポジションが増えたことで、DeFiを取り巻くセンチメントが低下していることを示しているだろう。

しかし、アナリストはビットコインの当面の値動きについては、やや慎重なようだ。BTC保有者の圧倒的多数は利益を上げており、投資家が利益を確定させる可能性がある。BTCが14,000ドルに近づこうとしているが、ここは2019年半ばにBTCの主要なレジスタンスレベルとして機能していた。2019年6月、BTCはバイナンスで13,970ドルに達した時、翌日には10,525ドルまで下落した。その後の21日間でBTCは9252ドルまで下落し、35%の下落を記録した。

利益確定による下落は近いのか?

仮想通貨トレーディングプラットフォームeToroのマネージングディレクターであるガイ・ヒルシュ氏は、ペイパルのニュースは「ビッグディールだ」とコインテレグラフに強要している。著名なベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤ氏も同様の見解だ。パリハピティヤ氏によれば、ペイパルのニュースを受け、すべての主要銀行がビットコインをサポートする方法について会議を開いているという。

仮想通貨市場は、2つの主な理由からペイパルが仮想通貨を統合するニュースについて非常に楽観的だ。まず、別の大手決済企業であるスクエアのビットコインのサポートに続くものとなった。第2に、確立された資産クラスとしての仮想通貨の認識を再確認させるものとなった。ニュースを巡る楽観的な受け止め方がある一方、ヒルシュ氏は短期的には反落とその後の着実な上昇が起こるだろうと述べている。

「この採用の増加は価格を押し上げる可能性があるが、この発表が市場に与える影響を完全に把握するのは時期尚早だと思う。利益を確定させることで短期的に価格が下落するのを見ても驚かないだろう。その後にゆっくりと着実に上昇し始めるだろう」

仮想通貨取引所Bequantのリサーチ責任者であるデニス・ヴィノクロフ氏は、少なくとも短期的には、指数関数的な急上昇ではなく、より健全な上昇トレンドにつながると考えている。2017年の強気サイクルが突然終了しているため、14,000ドルから20,000ドルの間にはほとんどレジスタンスがない。しかし、ヴィノクロフ氏は、それが新しい史上最高値への道が簡単であるという意味ではないと指摘している。

グラスノードのリサーチャーが報告しているように、ビットコインアドレスの98%が利益を上げている場合、利益確定のフェーズは避けられない。ビットコイン市場への新たな流入が既存の投資家やホドラーからの利益確定を相殺するかどうかは、短期的には変動するだろう。そのため、現在、取引所への流入は相関性の高い統計とみれているが、これは最近では年間最低レベルに落ち込んでいる。ヴィノクロフ氏によれば、取引所への流入が増加し始めた場合、それは利益確定の動きによって価格が反落する可能性が高いことを意味している。

「全体として、市場は価格発見の可能性をあまり提供しない領域に近づいているが、健全な市場では、指数関数的な上昇ではなく、保ち合いになると考えられる」

Skewのデータによると、スポット、デリバティブ、オプションを含むすべてのビットコイン市場は、ペイパルのニュース後に高いレベルでの需要を示しており、BTCは短い保ち合い期間の後に継続的な上昇を見せる可能性が高い。Skewのアナリストは、ペイパルのニュースを受けたビットコインの市場の動きはについて、「ビッグセッションだ!」と述べている

中期的なビットコインのレンジは?

ビットコインが利益確定による反落の後に保ち合いとなった場合、BTCが12,500ドルから13,500ドルの間でレンジが形成され、次のブレイクアウトまで数か月間はそのレンジに留まると予想する声もアナリストからは出ている。12,500ドルは過去に強力なレジスタンスレベルとして機能していたから、より強力なサポートエリアとなるだろう。13,500~14,000ドルの領域は、長年にわたり、強固なレジスタンスエリアだった。

しかし、4年近くBTCを押し下げてきた主要なレジスタンスレベルでの狭いレンジでの値動きは、次のブレイクアウトが発生した時の上昇を大きくするだろう。BTCのもう1つの変数は、新しい資本がビットコインに流入し続けるのか、それともアルトコイン市場に多様化するかということだ。ビットコインへの資本流入が進めば、年末までにBTCがブレイクアウトする可能性が高まるだろう。

中期的に次のビットコインのブレイクアウトを促進する可能性のある2つの触媒がある。別の大手金融機関がBTCのサポートを発表し、資本の一部をBTCに割り当てれば、一般投資家の関心を高めることになるだろう。また機関投資家の需要も、既に高いデイトレード活動がみられているリテール市場やスポット市場にも波及する可能性がある。

たとえば、ビットコインとテザー(USDT)のペアは、過去24時間で13億ドル相当の取引高を記録した。CMEビットコイン先物市場やバックトの取引高もともに増加しており、機関投資家市場とスポット市場で取引高が増加していることを示している。2021年に向けて、ビットコインへの関心が著しく高まっていることで、需要が継続的に高まっている可能性がある。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン