イーサリアムのブロックチェーン、つまり業界最大のブロックチェーンネットワークがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)をコンセンサス・メカニズムとして採用してから1年も経っていないが、研究者たちはPoSがビットコインと補完し合うと主張している。

スタンフォード大学のデイビッド・ツェ教授は、フロリダ州マイアミで開催された2023年ビットコイン・ビルダーズ・カンファレンスで、彼のチームがビットコイン、PoS、セキュリティ、エネルギー消費について行った調査についてコインテレグラフに語った。

ツェ教授は、スタンフォード大学でブロックチェーンのコンセンサス・プロトコルに特化した研究室を率いている。彼は最初に調査したコンセンサス・プロトコルはビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)プロトコルだったという。

「ビットコインは私たちの最初の恋だった」と彼は語った。ビットコインの「深い理解」、そしてその後のPoSプロトコルの理解を通じて、彼のチームは2つの間に「非常に自然なシナジー」を見つけたと言う。

「ビットコインとPoSの間でセキュリティを共有する追加のプロトコル層を構築することで、それは非常に強力になり、非常に強力なセキュリティ特性を提供するだろう」

彼は、PoSブロックチェーン自体は2つの主要な限界があると指摘する:1つは「ステーク」、つまり資本に基づいているため、新しいブロックチェーンを開始するのが難しく、ステーカーを引きつける必要がある。彼は、「資本がなければ、十分なセキュリティを確保できない」と指摘する。

セキュリティと資本が絡み合っていることに加えて、ツェ教授はまた、セキュリティはPoSでは彼が呼ぶところの「短距離」なものであるのに対し、ビットコインは逆で「長距離」のセキュリティを備えており、それらは「互いに完全に補完するものである」と強調した。

彼は、人々がより簡単な方法で分散型台帳アプリケーションを構築できるようにしたいと考えている:

「セキュリティは非常に重要だが、誰もが断片化し、限られた資本を求めて競争するのではなく、ビットコインという巨大な貯蔵所から資本を取って、これらのチェーンのための経済的なセキュリティとして使用する必要がある」

このような方法で、開発者がチェーンを保護するためのステークを募集するのではなく、ブロックチェーンネットワークを作成する核心的な目的であるアプリケーションの構築に焦点を当てることができるとツェ教授は構想している。

ビットコイン、そして一般的にPoWシステム構築に対する大きな反発の1つは、そのようなプロトコルに関連するエネルギー消費だ。

しかし、ツェ教授は、消費されるエネルギーだけを見るのではなく、「なぜ」消費するのかを見ることが重要だと述べている。

「エネルギーがなければ、セキュリティはない。セキュリティがなければ、価値はない。ある意味で、私たちが今やっていることは、技術的観点から、そのエネルギーをより高い価値の利用にすることだ」

彼はビットコインの最も貴重な資産の1つとしてセキュリティを強調し、そのセキュリティを活用している新しいプロジェクト、例えばビットコイン・オーディナルズに言及した。

「オーディナルズが他のプラットフォームではなくビットコイン上で興味深いのは、彼らが世界で最も安全なブロックチェーン上で構築しているからだ」

最近では、ビットコインの非代替性トークン(NFT)が仮想通貨業界を席巻し、それがビットコインにとって良いかどうかについては大きな論争となっている。一部のオピニオンリーダーたちは、これらが衰退すると信じているが、一方でバイナンスのNFTマーケットプレイスは5月9日にビットコインNFTのサポートを開始している

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン