ビットコインは、米国のドナルド・トランプ大統領が提案した関税に対するマクロ経済の不確実性が高まる中、2023年11月以来初めて8万ドルを下回った。

2月27日、ビットコイン(BTC)は7万9,752ドルまで急落した。TradingViewのデータによると、過去1時間で2.65%の下落を記録し、CoinGlassのデータでは1億100万ドル分のロングポジションが清算された。

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$100.01 million in Bitcoin long positions were liquidated over the past hour. Source: CoinGlass

ビットコインがこの価格帯で取引されたのは、トランプ氏が米大統領に選出された直後の2023年11月11日以来であり、当時は同氏の暗号資産(仮想通貨)に友好的な政策が2025年のビットコイン上昇を促すとの期待が広がっていた。

この数日間、多くのトレーダーが8万2,000ドルをビットコインの底値と見ていたが、現在は7万ドルへの下落に警戒を強めている。

70000ドルが現実味を帯びる

暗号資産トレーダーのdmac氏は2月27日のX(旧Twitter)投稿で、「押し目買いの勢力がやられている。70000ドルをターゲットとして見ている」と述べた。ビットコインが7万ドル台で取引されたのは、2023年11月5日以来であり、当時はトランプ氏の選挙世論調査結果が好調だった時期にあたる。

また、匿名の暗号資産トレーダーMandrik氏は、「8万ドルのビットコインが好きなら、7万ドルのビットコインをもっと気に入るだろう」とコメントした。

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Source: Arthur Hayes

一方、匿名の暗号資産トレーダーRager氏は、7万ドルへの下落をそれほど懸念していないようだ。同氏はXのフォロワー20万1,500人に対し、「7万ドル台半ばから前半への下落は異常ではない」と述べた。

「これまでのサイクルでも同様の動きは見られた。強気相場の中でもビットコインは30%から40%の下落を経験している」とRager氏は指摘している。

また、暗号資産予測プラットフォームPolymarketのデータによると、ビットコインが反発するのか、それとも7万ドルに向かって下落を続けるのか、市場の見方は真っ二つに分かれている。

「ビットコインが7万ドルを割るかどうかはほぼ50/50の確率だ」とPolymarketは2月27日のX投稿で述べている。

多くの市場関係者は、マクロ経済の不確実性やトランプ氏の提案する関税が、ビットコインおよび仮想通貨市場全体の下落要因になっていると指摘する。

1月20日のトランプ氏の大統領就任以来、ビットコインは過去最高値である10万9,000ドルを記録したものの、そこから約26%下落している。

ただ、最近のボラティリティにもかかわらず、機関投資家のビットコインに対する強気姿勢は変わっていない。

2月27日、スタンダード・チャータード銀行のデジタル資産リサーチ責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、「ビットコイン価格は今年20万ドルに到達し、トランプ氏の2期目終了までに50万ドルへと上昇する可能性がある」と予測した。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。