キーポイント:

  • ビットコイン先物の未決済建玉が過去最高の720億ドルに達し、機関投資家によるレバレッジの使用が増加していることを示している。

  • 10万7,000~10万8,000ドルで約12億ドル分のショートポジションが清算リスクにさらされており、ビットコインの上方ブレイクアウトの可能性が高まっている。

ビットコイン(BTC)先物の未決済建玉(OI)が5月20日に過去最高を記録し、現在の弱気ポジションが清算リスクに直面しているのではないかという見方が強まっている。5月18日以降、ビットコインは10万7,000ドルを突破できずにいるが、レバレッジポジションの急増が、新たな過去最高値更新の原動力になる可能性がある。

Bitcoin futures aggregate open interest, USD. Source: CoinGlass

5月20日、BTC先物の合計建玉は720億ドルに達し、1週間前の666億ドルから8%増加した。レバレッジ増加の主要な背景には機関投資家の需要があり、とりわけシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の建玉が169億ドルで最大、続いてバイナンスが120億ドルを記録している。

10万7,000~10万8,000ドルに12億ドル分のショート清算が集中

CoinGlassの推計によれば、BTC先物で最大のショート清算が見込まれる価格帯は10万7,000~10万8,000ドルで、約12億ドルにのぼる。

Bitcoin futures leverage heatmap, USD million. Source: CoinGlass

10万8,000ドルを上抜けし、これらのレバレッジショートを巻き込むには何らかの材料が必要だが、米国の財政赤字への懸念が高まっていることが楽観論を支えている。民主党と共和党の対立が続くなか、政府が支出削減と経済成長をどう両立させるのか不透明な状況にある。

注目すべきは、米20年物国債の利回りが5%近辺にあり、2週間前の4.82%から上昇している点だ。長期債への需要が低迷するなかで、市場の安定を維持するため、米連邦準備制度(FRB)が「最後の買い手」として再び登場する可能性が指摘されている。このような介入は、過去26カ月にわたる傾向に反し、米ドルに下押し圧力を与えることから、ビットコインのような代替資産へのヘッジ需要が高まることになる。

金が依然として優勢も、リザーブの再配分でビットコインにも資金流入

金は依然として主要な代替資産としての地位を維持しているが、2025年に24%の年初来上昇を記録し、時価総額は22兆ドルに達していることから、一部の投資家には割高と見なされている。参考までに、S&P500の時価総額は53兆ドル、米国の銀行預金および短期国債(M1)は18.6兆ドルとなっている。これに対し、ビットコインの時価総額は2.1兆ドルで、銀とほぼ同規模である。

一部の国、特に米国では、金の保有分を一部ビットコインに振り替える動きも出始めており、これが実現すればビットコインの過去最高値更新は現実味を帯びてくる。たとえば、各国が保有金のうち5%をビットコインに再配分した場合、1050億ドル(BTC価格10万5,000ドル換算で約100万BTC)もの資金流入が見込まれる。

参考までに、マイケル・セイラー氏率いる米上場企業「ストラテジー」は現在、576,230BTCを保有している。機関投資家による買いが、BTCが10万8,000ドルを突破するための最大の原動力であることは疑いようがない。この水準を突破すれば、レバレッジをかけたショートの大量清算を誘発し、急速な価格上昇につながるとみられる。ただし、マクロ経済の不確実性は引き続き投資家心理の重しとなっている。

BTCが10万7,000ドル近辺を推移するなか、ショートポジションを持つ投資家は強制清算のリスクに直面しており、これがさらなる上昇の燃料となる可能性がある。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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