あるダークネット・マーケットプレイスのユーザーは、3月5日以降、ビットコイン(BTC)およびモネロ(XMR)の出金ができなくなっており、「出口詐欺(運営側の資金持ち逃げ)」への懸念が高まっている。

サイバー脅威情報プロバイダーのダークウェブ・インフォーマーによると、インコグニト・マーケットと呼ばれるこのマーケットプレイスは違法薬物取引のプラットフォームとして知られており、1,000万ドルから3,000万ドルの価値があるとされる。

3月5日、ユーザーから仮想通貨の出金ができないとの警告が相次いだことで、マーケットプレイスの運営者に対する非難の声が挙がった。

Screenshot of a Dread forum user warning of an exit scam. Source: Dark Web Informer/X

このような報告に対し、インコグニト側の運営者「Pharoah」が、ダークネットベースのReddit型サイト「Dread」に投稿し、問題は単にインコグニトの出金システムの変更によるものだと利用者に確約した。

「このアップグレートの初期段階では、サーバーが古いデータの同期と新しいリクエストの両方を処理しているため、最初の数日間はユーザビリティが一時的に影響を受ける可能性がある」と説明している。

Dark Web Informer on X

しかし、その後も出金の問題が続き、ダークウェブ関連のセキュリティ専門家として知られるHugbunter氏がDreadに投稿したことで、出口詐欺が確定的となった。

Hugbunter氏は投稿で、Pharoah氏と話し合いの末、インコグニトに関するDreadでの投稿を削除する見返りに「賄賂」を持ちかけられたと主張した。

「残念ながら、出口詐欺を100%確認することができた」とHugbunter氏は書き、「この警告では、すでにインコグニトで失われた資金には影響を及ぼすことはできないが、今後の損失を防ぐためには十分と思う。利用者の皆さんには近づかないよう願う」としている。

Hugbunter also posted the warning on Reddit. Source: Reddit

この出口詐欺の疑惑は、ビットコインが過去最高値を更新し、69,200ドルを超える新たな史上最高値を付ける上昇の最中に起きた。

モネロも過去1週間で上昇し、151.74ドルの高値を記録したものの、記事執筆時点では142.01ドルまで下落した。

2月下旬に公開されたチェイナリシスの「2024年仮想通貨犯罪レポート」によると、2023年のダークウェブ上のマーケットプレイスの収入は少なくとも17億ドルにのぼったという。

2022年には世界最大のダークウェブマーケットプレイスだった「Hydra」が当局に閉鎖されている。Hydraに代わる単一のマーケットプレイスは現れなかったものの、レポートでは特定のニッチを担うなど「専門的な役割」を持つ小規模なマーケットプレイスが活況を呈しているとチェイナリシスは指摘している。