仮想通貨市場では、ビットコイン(BTC)からイーサリアム(ETH)への関心の移行がゆっくりと進んでいるが、多くの投資家は過去の下落相場に対する恐怖心から、この変化に気づいていない可能性があると指摘されている。
MNトレーディング・キャピタルの創設者であるミカエル・ファン・デ・ポッペ氏は、19日の市場分析動画の中で「市場は完全にビットコイン一辺倒というわけではなく、むしろイーサリアムの方にシフトしつつある」と述べた。
ファン・デ・ポッペ氏は、ビットコインのオンチェーン分析で知られるウィリー・ウー氏の最近の見解を引用し、市場は「イーサリアムの時代」に入りつつあると主張した。
「市場は悪い」という固定観念が投資家を縛る
ファン・デ・ポッペ氏は「多くの人が『市場は悪い』という考え方から抜け出せておらず、この変化の初期段階には気づいていない」と語った。
その理由としては、「ドルが弱含みとなり、景気循環が上向き始めていることで、マクロ経済的な構造が変化しつつある」ことを挙げた。
コインマーケットキャップのデータによれば、イーサリアムは今年4月の年初来安値である1472ドルから71%上昇している。ただし、2021年11月の史上最高値4878ドルからは依然として48%下回っている。
ファン・デ・ポッペ氏は「ここ数カ月でようやく市場の状態が良くなってきたが、大半の投資家は弱気市場のPTSD(心的外傷後ストレス障害)のままだ」とも述べた。
トレーディングビューのデータによれば、過去30日でETH/BTCの比率は0.33%上昇したが、6カ月で見ると32.32%下落し、現在は0.024付近にある。アナリストのクリプトフェラ氏は、「これは最も注目すべきチャートだ」とXで指摘。「本格的な反転を見るには、より明確な強さが必要だ」と同氏は述べた。
一方、アナリストのテッド氏は、イーサリアムが2017〜2021年のビットコインの値動きをなぞっていると分析し、「ETHが4000ドルを超えたとき、本当のパラボリック(放物線的)な上昇が始まる」と予測した。
イーサリアムETFには好調な勢い
直近では、イーサリアム上場投資信託(ETF)が好調なパフォーマンスを見せている。
米国の現物イーサリアムETFは、2024年7月のローンチ以降、過去最長となる19営業日連続の資金流入を記録し、流入額は総額13億7000万ドルに達した。これはローンチ以降の累計流入額の約35%を占める。
ただし、市場全体では依然としてビットコインが主導権を握っている状況だ。コインマーケットキャップのアルトコイン・シーズン・インデックスは、過去90日のパフォーマンスを基に、アルトコインがビットコインを上回っているかを示す指標だが、現在のスコアは100点中23点で「ビットコイン・シーズン」が続いていることを示している。
この指標は5月10日に一時43まで上昇したが、その際にはイーサリアムが5月7日の1811ドルから3日で42%反発し、2582ドルに達したタイミングと一致していた。
アルトコインシーズンの鍵を握るのはETHの強さ
ファン・デ・ポッペ氏は、待望のアルトコインシーズンが再来するには、イーサリアムの持続的なパフォーマンスと力強さが必要だと強調する。
「みんなが待ち望んでいるアルトシーズンを迎えたいなら、含み損から脱して、あるいは利益を得たいと思っているなら、イーサリアムがもっと良い動きをしてくれる必要がある。イーサリアムが強さを見せなければならない」
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。