現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の発行企業が米証券取引委員会(SEC)への申請内容を詰めている中、SECはブラックロックが提案している代替モデルではなく、「現金」拠出・償還モデルを強く要求しているようだ。

12月14日、金融専門の弁護士であるスコット・ジョンソン氏は、ETF申請企業のインベスコがETFの現金拠出・償還モデルを使用していると指摘した。「すべての人が現金拠出・償還に従わざるを得なくなるだろう」とETFアナリストのジェームズ・セイファート氏はジョンソン氏のツイートを引用する形でコメントしている。

「信託は、創出・償還の取引が当初は現金で行われることを予定している」と、SECへの更新されたS-1申請書には記載されている。SECは、現物型ビットコインETFに対して現金償還モデルを推進しているが、ブラックロックを含む一部の申請者は「現物」モデルの使用を提案している。

何が違うのか?

ETFは、現金拠出・償還と現物拠出・償還の2つの方法で株式を拠出・償還できる。現金拠出モデルでは、認定参加者がユニットの純資産価値に相当する現金をETFに預ける。その後、ファンドはこの現金を使用して基礎となる資産、この場合はビットコインを購入する。

現物拠出の場合、参加者はETFのポートフォリオの構成と一致する証券のバスケットを預ける。これにより、ファンドは証券を直ちに現金化せずに投資家に拠出ユニットを発行できる。

このモデルは、バスケットを売却して株式発行のための現金を調達する際に発生する売買スプレッドやブローカー手数料を避けるため、ETFにとってより効率的とされている。しかし、現金拠出はファンド参加者にとってより柔軟性を提供する。

ブラックロックも妥協か

ブルームバーグのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は最新の申請書が「SECが最初に現金拠出ETFのみを認めることに固執しているというかなり大きな手がかりだ」と指摘する。多くの人がブラックロックが規制当局に現物拠出を説得できるかどうかを見守っていたが、セイファート氏は「すべての人が現金拠出・償還に従わざるを得なくなるだろう」と語った

11月下旬、ブラックロックはSECと会合を持ち、ETF株式の拠出・償還メカニズムについて議論した。同社は、現金拠出よりも「改訂された」またはハイブリッドの現物モデルを提示した。

12月13日、SECはインベスコとギャラクシー・デジタルのイーサリアム現物ETFの申請に関する決定を延期した。さらに、ブラックロック、グレイスケール、フィデリティを含む複数の資産運用会社の代表者たちは、1月初旬に予想される一括承認前に、自社のビットコイン現物ETFの最終詳細を詰めるために近頃SECと会合を重ねている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン