ビットコインによるBitcoin Classicと呼ばれる新しいハードフォークが誕生してから36日が既に経過している。コアデベロッパー達はこのハードフォークこそが最後の手段で、奥の手だと考えているようだ。

ウェブサイトやGitHubの該当ページによれば、Bitcoin Classicはこれまである開発者グループ、すなわち、Johnathan Toomim氏、Ahmed Bodiwala氏、Gavin Andresen氏、Jeff Garzik氏、Peter Rizun氏や、マイニングプール、AntPool (ハッシュパワーの24%をしめている)BW Pool (ハッシュパワー全体の6%)CoinbaseOKCoinBitstamp等々の企業によって承認されているようだ。

デベロッパーたちによれば、コードの変更に利用者の声を聞いて民主的な意思決定を確立するために、マイニング業者やユーザーに投票させる必要があるという。

優先的にトピックを打ち立てるため、Bitcoin ClassicConsider.itとの提携を開始している。もし、ユーザーとマイニング業者(後者は実際にマイニングに携わっているか身分証明できるものを提示しなければならない)どちらもその大半が変更を支持すれば、変更が実装される。これについてはウェブサイト上のフォーム下段で確認することができる―

 

「我々は、マイニング業者とユーザーが望んでいるソフトウェアを作り上げているところです。彼らどちらのニーズもカバーしなければなりませんし、彼らの手助けとなり、率直にビットコインネットワークのキャパシティをしっかりとアップグレードできるものでなければなりません」

コインテレグラフは今回、業界の大物にインタビューする機会を得ることができた。弊社の特派員であるMarinos Kokkinosに、Gavin Andresen氏、Harsh Patel氏、Allen Bunch氏、Gray Rowe氏、そしてTwitterを利用しているJihan Wu氏とNicolas Dorier氏などの面々にインタビューを行うべく調査へ向かってもらった。

 

 

何故マイニング業者やノードがBitcoin Classicを選ぶのか?

Gavin Andresenはその三つの主な理由を述べてくれた―

 

「システムをセキュアに保つこと。セキュリティの脅威に常に対応できるということは、何においても最優先事項でした。もしビットコインのコアテクノロジーが安全でなければ、誰も使おうとは思いませんから。

システムを信頼性の高いものにすること。信頼性とセキュリティは切っても切れない関係です。もしシステムが信頼できないものであれば、安全であるかどうかなど関係なくなってしまいますし、やはり誰も使いたいなどとは思わないでしょう。

ビットコインをより良いものに変え得る、低レベルの技術にも機能を追加すること。よりプライベートだったり、使いやすいものであったり、高速であったり、人々が何か以前はできなかったことを可能にするようなものです。しかしセキュリティと信頼性が何よりもまず優先されるべき事項であることに変わりはありません」

 

Harsh Patel曰く―

 

「私はパブリックブロックチェーンや、セミプライベートなコンソーシアムチェーン、プライベートな企業向けのブロックチェーンなど、それぞれ違った目的で共存できると考えています」

 

Jihan Wuは自身のTwitterアカウントで次のように語っている―

AntpoolClassicをすぐにでも試験利用する予定です。近々7日間の休暇を取る予定ですので、おそらくその後になると思います。まずはノード一つで試験的に利用する予定です」

 

 

ビットコインの価格やマイニングによる報酬にはどのような影響が出るのだろうか?

バンクオブアメリカのソフトウェア開発者であるBunch曰く―

「私の個人的な意見としては、まだClassicのような技術を導入するには早いと考えています。ビットコインによる変革が訪れるのはまだまだこれからでしょう」

 

Gary Rowe曰く―

「ブロックサイズを増やすことで、一秒ごとの取引量を増やすことが出来ますし、それによってビットコインネットワークの有用性を高め、一定の供給に対する需要を増加させることに繋がります。これによってビットコインの価格は飛躍的に上昇し、さらなる取引が生まれ、マイニングする人々にとってもさらに報酬が得られることに繋がるでしょう」

 

 

マルチビットのウォレットにはどのような影響がでるのか?

Gary Rowwはこの問題について次のように語っている―

 

「多くの人にとって影響は出ないと思います。フィーマーケットが発展しているこのような状況に対処するために、初めに取引をブロードキャストする際に前金としてユーザーが報酬を増やせるような機能を提供する予定です(RBFは通しません)マイニングに対して低すぎる報酬で取引が生成される可能性がある場合は、ユーザーに警告するような報酬のルックアップを行うかもしれません」

 

 

2MBのブロックサイズ VS 1MBのブロックサイズ

Gary Roweはさらに次のように語っている―

 

2MBのブロックサイズが上限ですが、1MBだとした場合、ブロックの数には最大値は存在しません。しかしながら、どの場合でも上限に達した場合、(現在のところ1MBだとした場合)競争が激化し、取引が圧迫されることになります。マイニング業者がまず、最初に大きく利益を得ることでしょう。そうして手数料市場が発展することになります。ブロックサイズを2MBにするのであれば、手数料市場が影響を受ける前に、より多くの取引が現行でされている必要があります」

 

Gavin Andresenは次のように述べている―

 

「私はビットコインコアを牽引する整備士としての役職を辞任しています。ソフトウェアプロジェクトについて考えることからしばらく身を引いて、来年、再来年と、ビットコインが直面するだろう事柄にどう挑戦していくべきか、そういったことについてより考える時間を割きたかったからです。私はまだビットコインにおいて、セキュリティや信頼性などが最も憂慮されるべき事項だと考えていますし、以下の二つの理由からBitcoin Classicプロジェクトに関わっています―

一つ目は、ビットコインの信頼性を保つためには、ビットコインコアは崩落する運命を辿ると考えているということです。1MBのリミットサイズに達してしまえば、取引の認証はますます信頼できないものになってしまいます。ビットコインの全ての目的は、信頼が置けて、安全に、取引を行うことですから、これは大きな失敗への一歩だとは私は考えています。

そして二つ目の理由は、イノベーションやエクセレンスは競争と選択によってもたらされるものだと考えているということです。より多様性に満ちたソリューションを私は求めているので、今後様々なビットコインプロトコルの導入に携わろうと考えています。多様なネットワークとは、長い目で見れば、より信頼性が高く安全なものであるべきです―たった一つの導入例におけるバグや問題点などではネットワーク全体を脅かすようなものにはなり得ないでしょう。

私が思うに、現在のブロックサイズの上限に関する議論は優先度の違いを表しているのだと思います―つまり、開発者がどのようなコードを書いているのか、ということです。私は、最も積極的にビットコインコアに貢献してきた人々によって、信頼性の上に分散型という価値を広めることへと繋がってきたのだと信じていますが、それは勘違いだったのです。分散化するということは、検閲や、DoS攻撃(従来のDoS攻撃や、法案を可決させ、サーバーを押収することで、ネットワークをシャットダウンしようと試みてきた政府など)などに対するセキュリティを実現する手段の一つでしかありませんし、ブロックサイズの上限を増やすということで、セキュリティに関してはほぼ損害ゼロの状態で大きな信頼性という利益を得ることができるだろうと、強く感じてます」

 

Nicolas Dorierは自身のTwitterアカウント上で次のように述べている―

 

Classicによる2MBでの運用に賛成であるか否かにかかわらず、Classicを稼働させるということ自体が非常に良くない考えです。それはブロックチェーンを分割してしまうことに他なりません」

SWHFTL;DRなどに関して私が思うのは、2MBのブロックサイズにも対応していることからも、SWが最もサイズを拡大するのに手っ取り早い方法だ、ということで、Classicは別物だ、ということです」

 

Bitcoin Classicが採用されることでビットコインコミュニティにおいてどのような結果がもたらされるのだろうか?

次に何が起きるのかにもよるが、最後の一言はビットコインユーザーに委ねられることになりそうだ。

 

記録として―現在既にBitcoin Classicを利用した536のノードが稼働中である。