仮想通貨(暗号資産)ビットコインキャッシュ(BCH)基盤の分散型金融(DeFi)関連製品を開発するスタートアップ「ジェネラル・プロトコル」が、シードラウンドにおいて100万ドル(約1億円)の資金を調達した。BCHによる投げ銭・寄付が可能なコンテンツプラットフォーム「read.cash」上において、5月7日に発表した。
今回の資金提供は、仮想通貨投資家のマーク・ド・メセル(Marc De Mesel)氏、BCHの「思想的リーダー」であるモレキュラー氏などによって行われたそうだ。
ジェネラル・プロトコルのジョン・ニエリ(John Nieri)CEOは、次のように述べた。
「BCHにDeFiを導入するという我々のビジョンを、投資家がサポートしてくれたことに感謝する。我々は、ここジェネラル・プロトコルにおいて、仮想通貨の献身的な支持者によるチームを構築する」
BCHのスマートコントラクト機能を利用したデリバティブ製品
プレスリリースによると、今回調達した資金は、BCHのスマートコントラクト機能を利用したデリバティブ製品「エニーヘッジ(AnyHedge)」開発に投入するという。多くの従来取引所やOTCデスクにエニーヘッジを組み込みやすくするため、オープンソースソフトウェア(OSS)として開発を行うようだ。ジェネラル・プロトコルは、GitHubの競合にあたるGitLab上にリポジトリを開設しており、ホワイトペーパーをすでに公開している。
また、ロスコ・カリス(Rosco Kalis)氏などがジェネラル・プロトコルに参加したことも明らかにされた。カリス氏は、前職のBitcoin.com在籍時以来、BCHスマートコントラクト作成用のプログラミング言語「キャッシュスクリプト(CashScript)」開発に携わっており、ジェネラル・プロトコル入社後もプロジェクトを続けるという。
分散型金融(DeFi)の主流を占めるイーサリアム
DeFiは、分散型ネットワークを使ったレンディングやデリバティブ、支払いサービスを指す。ロックアップ資金は、融資や金利の獲得、ステーブルコインの発行など様々な用途に使われる。
イーサリアム(ETH)基盤のDeFiプロジェクトが普及を見せており、BCH基盤のものは苦戦している。ETH・EOS・ビットコイン(BTC)など基盤のDeFi関連情報の分析メディア「DeFiprime.com」によると、記載している213プロジェクトのうち、199件がイーサリアム基盤という(2020年5月上旬現在)。次いでBTC基盤が24件、EOSが22件となっている(合計すると245件になるのだが、DeFiprime.comは「213」件としている)。トロン(TRX)基盤のものも存在するようだ。
DeFi監視のDeFi Pulseによると、2020年2月、DeFi用にロックアップされた資金は12億4000万ドル(約1322億8000万円)に達したものの、その99%がETH基盤であり、記事掲載時点では8億8700万ドル(約946億円)まで下がっている。同じくDeFi Pulseによると、BTCのライトニングネットワークには、930万ドル(約9億9000万円)しかロックされていないそうだ。
(出典: DeFi Pulse DeFi用にロックアップされた資金)
ステーブルコインのテザーがBCHネットワークでローンチ
BCHには、独自の汎用トークン規格「シンプル・レジャー・プロトコル(Simple Ledger Protocol。SLP)」がある。ETHのERC-20規格に似た規格で、ERC-721規格同様にノンファンジブルトークン(NFT)も扱える。
2020年3月、ステーブルコインのテザー(USDT)が、このSLPを介して発行されたことが報じられた。Bitcoin.comウォレットユーザーが、アプリ内でSLPトークンを介して、USDTを送受信できるそうだ。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン