苦戦する仮想通貨業界にとって一つの希望の光になるかもしれない。買い手と売り手が直接取引をするOTC(店頭)取引に米国の機関投資家が殺到している。

仮想通貨業界でOTC取引を手がけるCumberland(カンバーランド)は8日、「過去1週間でOTCの買いと売りの比率が、買いの方に60%近く上昇した」と発表。「歴史的にはOTC取引は、買い手と売り手でバランスが取れていた」とみている。

また、The Blockによると、同じくOTC取引を手がけるジェネシス・トレーディングのマイケル・モロCEOは、カンバーランドと同じような状況を指摘。年末にかけては税金対策などで売りが先行してたが、「そうした売り圧力がひと段落した後、買いサイドの需要が高まっている」と話したそうだ。

存在感高まるOTC

流動性の高さなどから機関投資家の間で需要が高まっているOTC取引。米仮想通貨決済企業サークルが3日、OTC(店頭)取引の取引高が2018年に想定で240億ドル(約2兆5900億円)を記録したと発表した。米国では仮想通貨取引所コインベースも、機関投資家向けにOTCトレーディングデスクを設立している。

OTC取引とは、Over The Counterの略。日本語では店頭取引、相対取引と訳される。一般的には、取引所を介さない取引や証券会社の店頭で行う取引として認識されている。仮想通貨業界でも同様に投資家同士が一対一で直接的に取引を行うことを意味し、また仮想通貨取引所で行われる販売所取引もOTC取引と呼ばれることもある。OTC取引には、大口投資を一括で行うことができること、仲介者がいないのでサーバーダウンなどによる取引不能の事態を回避できること、取引に必要な事前手続きや登録などの煩雑な業務をする必要がないといったメリットがある。一方で、スプレッド(買値と売値の差)が広いので少額取引には不利である。また、取引相手をどのように信頼するか、詐欺リスクがあるなどのデメリットもある。

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