エルサルバドルのアレハンドロ・ゼラヤ財務相は、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争による価格変動と不透明な市場環境を理由に、同国が予定している10億ドルのビットコイン(BTC)債の発行をさらに延期すると発表した。

6月1日、現地のニュース番組「Frente a Frente」のインタビューで、ゼラヤ氏は「数ヶ月前」の10億ドルのビットコイン債発行に向けた動きに変化があったかどうかを尋ねられた。

「いや、まだだ、(ビットコインの)価格はウクライナの戦争によって混乱し続けている」と述べ、さらに「短期的には変動はあるが、長期的には常に価値が高くなる傾向がある」と付け加えた。

「(ビットコインには)未来があり、私たちが賭けるべき経済的イノベーションがある」

もともとこの債券発行の計画は、2021年11月にエルサルバドルのブケレ大統領によって発表されたものだ。10億ドルのうち半分は、火山の近くに建設される「ビットコインシティ」の建設資金に充て、そこの火山の地熱をビットコインの採掘に活用することを想定している。残りの半分は、ビットコインに投資される計画だ。

10億ドル債は当初2022年3月中旬に発行される予定だったが、3月のインタビューでゼラヤ氏は価格変動を理由に発行を延期した。その時には発行日は6月頃、遅くても9月までに発行すると述べていた。

一方、2023年1月に償還期限を迎える8億ドルの債券がデフォルトに陥る恐れが強まり、格付け会社のムーディーズは5月4日、「信頼できる資金調達計画がない」としてエルサルバドルの格付けを引き下げている

エルサルバドル政府は2021年9月からビットコインを購入しており、ブケレ大統領は5月9日にさらに500BTCを購入したと発表しており、エルサルバドルはこれまでのBTC投資で3560万ドル以上の損失を出したと推定されている