巨大テック企業とビットコイン(BTC)の相関性について、金融メディアは頻繁に指摘している。「ビットコインはテック株のように取引されている」という説明が一般的であり、BTCはしばしば米ドルとの逆相関が鮮明である。
しかし、これらの相関性は不変なもので、将来の価格動向を予測するために役立つのだろうか。ビットコインと様々な資産タイプとの関係を分析したいくつかのレポートを詳しく見てみよう。
BTCの歴史的な相関性は時間軸で変化
2022年10月に発表されたMDPIのレポートは、ビットコインと伝統的な金融資産との相関性についていくつかの重要な結論を導き出している。
- ビットコイン市場の極端な変動性は、長期的な相関性が短期的な相関性よりも強いことを意味する。
- 新型コロナウィルス(COVID-19)のような極端なショック時には「ビットコインとリスク資産との間の正の連関が増加する」
- ビットコインはリスク資産と正の相関を持ち、米ドルとは逆の相関を持つ可能性がある
- ビットコインは米ドルに対するヘッジとして機能することができる
これらの点は、過去9~10ヶ月の新たな価格データ、例えば大幅なボラティリティの低下などで反論することができるが、それらを検討することで洞察を得ることができる。さらに、他の研究者たちは特定の資産とビットコインとの関係を特定の時間枠で深く探求している。
仮想通貨関連の株式
いくつかの仮想通貨関連の株式は、市場の他のどの資産よりもビットコインとの相関性が高い。BTC/MSTR、BTC/COIN、BTC/RIOTの90日相関係数は、過去数ヶ月間でほぼ1近くに保たれている(記号「BTC/xxxx」は、ビットコインと比較して各資産の相関係数を示す)。
マイクロストラテジー(MSTR)については、係数は2022年9月以降、0.68以下に落ちることはなかった。ライオットプラットフォーム(RIOT)の係数は2023年6月に約0.75まで下落し、コインベース(COIN)は5月と6月の間に一時的に0近くに推移した。

これらの株式は、今年に入ってからビットコインを上回るパフォーマンスを示し、またボラティリティも高くなっている。投資家は、証券口座を通じて購入することができないビットコインの代替としてこれらの資産を使用している可能性がある。
これら3つの株式がビットコインと密接に相関している一因は、それぞれの企業のバランスシートに関係している。つまり、こららの企業はすべて、大量のビットコインを保有している。下の表で見るように、MSTRは公開企業の中で最も多くのビットコインを保有しており、15万2333BTCを保有している。COINは4位で1万766BTC、RIOTは8位で7094BTCを保有している。

貴金属
コモディティ、特に貴金属との相関性についてみると、実際には金よりも銀が2019年以降のビットコインの価格動向を反映している。CFAインスティテュートのジョーダン・ドイル氏とウラヴ・ソニ氏による2022年11月のレポートは、ビットコインと最も相関性の高い資産についていくつかの洞察を提供している。

レポートによれば、2019年10月から2022年10月までの期間で、ビットコインと最も密接に相関していたコモディティは銀で、相関係数は0.26だった。一方、金の相関係数はわずか0.15で、銀のボラティリティが高いことが原因かもしれない。
「銀とビットコインの相関性が最も高く、ピーク時には0.26に達する。いわゆる"デジタルゴールド"であるビットコインは、貴金属との相関性が弱い」とレポートは述べている。
パッシブとアクティブの株式ファンド
株式全体とそのビットコインとの相関性について話すとき、インデックスやETFを見るのが最も一般的な方法である。これにより、特定の株式に焦点を当てるのではなく、一般的な資産クラスの概観を提供する。
予想通り、グロースファンドは仮想通貨との相関性が高い傾向があり、これはおそらくその投機的な性質によるものだろう。「グロースファンドは、バリューファンドよりも仮想通貨との相関性が強い。例えば、小型株グロースファンドとビットコインとの相関係数は0.41で、小型株バリューファンドとビットコインとの相関係数は0.35」となっている。

言い換えれば、仮想通貨市場全体は「金利動向に対してあまり敏感ではない」。金利動向は2022年を通じて株式の広範な下落の一因となっていた。
最後に、債券はビットコインとほとんどまたは全く関連性がない。パッシブ債券ファンドの相関係数はわずか0.11で、アクティブ債券ファンドはわずかに高い0.13だった。すべてのデータポイントは、2019年10月から2022年10月までの期間のものだ。
ビットコインの相関性は水晶玉ではない
ビットコインの大きな価格変動により、すべての相関性は一瞬で変わる可能性がある。それでも、ここで使用したデータは、最近の過去においてビットコインと最も密接に相関していた資産の正確なイメージを提供している。
仮想通貨関連の株式は、ビットコイン保有量により、引き続き強い相関性を持つ可能性が高い。一方、商品や株式ファンドとの相関性は、今後急速に変わる可能性がある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
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