著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
先週(8月30日〜9月5日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比331,709円(6.22%)高の5,662,243円と反発。対ドルでは、心理的節目50,000ドル(≒549万円)の上抜けに成功し、足元、51,800ドル周辺での推移となっている。
3日金曜日の米雇用統計を前に警戒感から530万円周辺まで押したBTC相場だったが、結果が市場予想を大きく下回ったことを受け、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも現行の政策が維持されるとの思惑から反発し、一時558万円にタッチ。しかし、経済回復ペース減退の懸念から米株の上値が抑えられると、米時間のBTCは小甘く推移し、この日は終値での50,000ドル乗せに失敗した。
週末の相場は目星い材料に乏しく、50,000ドルを挟み込み概ね揉み合いに終始したが、今朝方に上昇に転じ、主要アルトコインも追随している。
8月の米国の非農業部門雇用者数は23.5万人の増加と、市場予想の75万人を大きく下回った。新型コロナのデルタ株感染拡大が米経済に打撃を加えていることが一層に浮き彫りとなったことが指摘される一方、最速で9月に予想されていた金融政策の転換点が後ろ倒しになる公算が高くなったことに加え、インフレの兆候とされる平均時給の上昇も確認され、BTCにとっては好環境が続く形と言えよう。