著者 長谷川友哉(はせがわゆうや)ビットバンク マーケットアナリスト
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
先週(21日〜27日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比54,387円(1.23%)安の4,363,257円と小幅に下落し、3週続落。一時は心理的節目の400万円を1カ月ぶりに割り込む場面もあった。
シカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物がギャップダウンして取引を開始したことで、先週21日のBTC対円相場は40,000ドル水準となる460万円へ戻りを試したが、欧州株の続落や、ロシアのウクライナ東部2地域の独立承認と同地域への増兵が相場の重石となり、450万円台中盤から反落し420万円にタッチした。22日には欧州株が下げ止まったこともあり、再び450万円まで戻りを試したが、欧州議会で暗号資産(仮想通貨)の包括的規制を取りまとめた「MiCA」の草案にPoWコンセンサスアルゴリズムの禁止案が盛り込まれたことが明らかとなると、BTCは同水準から反落、24日にはロシア軍がウクライナ東部での軍事作戦を開始したことでリスク回避の動きが加速し、395.5万円まで下値を広げた。
一方、その後のBTCは押し目買いの様相で徐々に値を戻すと、バイデン米大統領の対露追加経済制裁発表、さらに、開戦初日からウクライナ首都キーフ陥落は時間の問題との報もあり、軍事衝突が長期化しないとの期待感からか相場は上値を追う展開に転じ460万円にタッチした。しかし、対ドルで節目40,000ドルとなる同水準は相場のレジスタンスとなっており、欧州議会のMiCA草案投票延期もあったが、1月の米個人消費支出(PCE)上振れによる金融政策引き締め加速への警戒感から上値を抑えられた。
週末には欧米が対露追加制裁としてロシア金融機関300行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除。これがロシアによる仮想通貨での制裁回避を想起させたかBTCは一時上値を重くするも、ウクライナ政府がBTC、ETH、USDTでの寄付を募っているとの報道が広まると反発し、再び460万円をトライ。しかし、ロシアとウクライナの停戦協議が決まったにもかかわらず、プーチン露大統領が核抑止力部隊に特別警戒命令を出したことが嫌気され、またも同水準の上抜けに失敗している。
第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
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本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。