仮想通貨(暗号資産)取引所バイナンスは7日、デジタルウォレットや仮想通貨VISAカードを手がけるスワイプ(Swipe)の買収を完了したことを発表した。買収価格は非公表。

バイナンスのジャオ・チャンポンCEO(通称CZ)は今回の買収によって、従来の金融システムを通じた仮想通貨の決済や購入が可能になったことを強調。法定通貨とデジタル資産とのギャップを埋めることで、仮想通貨の普及につながると話している。

「小売などの加盟店が、ユーザーが直接仮想通貨を使った場合でも、法定通貨でシームレスに受け入れられるようにすることで誰にとっても仮想通貨の体験をより良いものにすることができる」

スワイプのウォレットはユーザーの銀行口座として機能し、従来の銀行サービスにもアクセスが可能になることで仮想通貨の普及を促すことになるという。

スワイプはバイナンスコイン(BNB)をプラットフォーム上に上場させており、ユーザーはSWIFTと単一ユーロ決済圏(SEPA)を通じて銀行口座でBNBを売買できるようにした。スワイプのVISAデビットカードでもBNBで決済が可能だ。

スワイプは、EU内の31カ国で利用可能。ユーロや英ポンド、米ドル、韓国ウォン、フィリピンペソをサポートしている。今後はアジアや北米でも利用を拡大させる。

またバイナンスはスワイプのSXPトークンを上場させた。SXP/BTCやSXP/BNB、SXP/BUSDの取引を開始している。

バイナンスの積極投資

バイナンスは積極的に仮想通貨企業への買収・投資を進めている。

今年4月にはバイナンスは、世界で最も有名な仮想通貨データサイトのコインマーケットキャップ(CMC)を買収することで合意したと発表した。バイナンスのジャオ・チャンポンCEOはバイナンスとCMCは「仮想通貨へのアクセス」を提供するという点で似ており、仮想通貨業界の透明性を高める上で相乗効果を期待できると述べた。買収額は4億ドル(約428億円)と一部で報道されているが、CZはコインテレグラフに対して秘密保持契約のため金額は明かせないと述べた。

また昨年11月には、インドの仮想通貨取引所ワジールX(WazirX)を買収し、インド市場への進出を発表している。「WazirXの買収は、インドのブロックチェーンエコシステムを強化するとともに、マネーの自由を達成するための新たな1歩となる」と、CZは語っている。

昨年9月には中国の仮想通貨メディアの「火星財経」に出資することも発表しており、仮想通貨エコシステムへの投資を積極的に行っている。