香港を拠点とするクリプト億万長者であるサム・バンクマン-フリード氏は、同氏が率いる仮想通貨デリバティブ取引所FTXが将来、米金融大手ゴールドマンサックスやシカゴマーカンタイル取引所(CME)などを買収するだろうと主張している。

バンクマン-フリード氏は、7月14日のフィナンシャルタイムズの記事に登場。FTXが仮想通貨取引所としてトップとなり、コインベースやバイナンスなどのライバルを追い越すことができれば、ゴールドマンサックスやCMEグループなどの金融界の巨人を買収するというアイデアを検討することもあるだろうと語っている。

「私たちが最大の取引所となった場合、(ゴールドマンサックスやCMEの買収が)まったく論外ではなくなるだろう」

29歳のバンクマン-フリード氏の純資産は87億ドルと推定されており、FTXと仮想通貨トレード企業アラメダリサーチを率いている。

Macrotrendsのデータによると、ゴールドマンサックスの時価総額は1290億ドル、CMEグループは755億ドルと推定されている。

FTXは急速に成長しているが、まだこれらの巨人のレベルにまでは及んでいない。バンクマン-フリード氏は、6月24日のNikkei Asiaとのインタビューで、FTXが最新の資金調達ラウンドで約200億ドルの評価になることを望んでいると語った。つまりFTXが上記の巨大企業を買収する力を得るまでにはしばらく時間がかかるということだ。

しかし、彼は次にもう少し規模の小さい企業を買収する予定のようだ。次の資金調達では機関投資家から「数億ドル」調達し、その資金をM&Aに使う可能性が高いだろうと語っている。

さらにバンクマン-フリード氏は、FTXが上場を検討しているとも語った。「積極的に上場するつもりはないが、必要に応じて先に進む立場をとるだろう」と述べた。

「私たちは資本を必要としないので、それをする必要がないという幸運な立場にある。…一方、ブランド認知度など、上場には潜在的に大きな利点がある」

バンクマン-フリード氏は仮想通貨業界に入ってからわずか3年間で数十億ドルの資産を築いた。そのためバンクマン-フリード氏が野心的な目標を話すことは驚くことではないだろう。

FTXは2019年に市場に参入して以来、野心的なアプローチを取り、過去1年間に同社は投資と買収を続けてきた。

2020年8月には1億5000万ドルでBlockfolioを買収。2021年3月には1億3500万ドルで米NBAのマイアミヒートのホームスタジアムの19年間の命名権を獲得した。最近では、eスポーツブランド「TSM」の命名権も2億1000万ドルで取得した。また先月24日には、米メジャーリーグの公式スポンサーにもなっている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン