イーサリアム財団は、ガス消費、特にレイヤー2での消費量を削減するため、イーサリアムのアカウント抽象化標準に大きな変更を加える予定だ。

1月10日、同財団はERC-4337標準仕様の抜本的な変更をプレビューとして共有した。ERC-4337標準はアカウント抽象化、別名スマートアカウントとしても知られている。

開発者のジョン・ライジング氏によれば、新しいバージョン0.7は、ERC-4337が9か月間使用された経験から得られた知見を適用しているという。最大の変更点はアカウント抽象化トランザクションの構造で、これは通常のイーサリアムトランザクションよりも複雑だ。これには1つではなく5つのガス値を指定する必要がある。

「ユーザーは、アカウントが署名をチェックされている間に計算を行う可能性があるため、複数のガス値を指定する必要がある」とライジング氏は説明する。ライジング氏によれば、「スマートアカウントでは、ユーザーはさまざまな種類の署名を持ち、多くの方法でガスを支払うことができる。これは必要なガス量が変動することを意味し、トランザクションはこの検証のためにいくら支払う意志があるかを指定しなければならない」という。

これによりガスの見積もりがより正確になり、特にレイヤー2ネットワーク上でのガスコストが削減される。これらの変更により、公開する必要があるデータ量が減少するからだ。

「バージョン0.7の主な利点は、ユーザーのガス料金が削減されることだ」とライジング氏は付け加える。「トランザクションデータをより効率的に使用するいくつかのトリックを使っており、これは特にレイヤー2ブロックチェーン上で役立つ」という。

新しい仕様では、実行時に使用されなかったガスの10%をユーザーにペナルティとして課す。「これにより、アプリが不必要に高いガスリミットを持つトランザクションを配置することを防ぐ」。

アカウント抽象化の仕組み. Source: Cointelegraph

スマートアカウントとも呼ばれるアカウント抽象化は、基本的なイーサリアムアカウントにプログラム可能なロジックとルールを持たせることで、現在のシンプルなアカウントでは不可能な多くの新しいユースケースを開く。

現在のイーサリアムアカウントはある程度受動的で静的だが、アカウント抽象化によりそれらは能動的でプログラム可能になる。これは2021年9月にヴィタリック・ブテリン氏を含む開発者によってEIP-4337で提案された。

イーサリアム財団はバージョン0.7の実施予定日を発表していないが、現在セキュリティ監査が始まっているとのことだ。「私の推測では、すべてが2月末のETHデンバーまでには最終化されるだろう」とライジング氏は述べた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン