今年コインベースなどの大手企業が従業員の解雇を発表し、弱気市場の間はブロックチェーン業界にほとんど、もしくはまったくチャンスがないように見えたこともあった。しかしながら、仮想通貨業界に特化したある人材紹介会社の幹部はそう捉えていないようだ。

「Blockchain Economy Summit Dubai 2022」において、Satoshi Solutionsの共同創業者にして取締役でもあるクレイトン・プラム氏が、仮想通貨業界の今の雇用情勢についてコインテレグラフに語った。

プラム氏によると、現在の雇用状況は強気市場の時とは大きく異なるという。強気相場が続いていた時は、企業が「猛烈な勢いで人材を雇い入れ」、開発担当者に50~70万ドルの報酬を提示していたと同氏は話す。だが、それはもはや過去の話だ。現場の人間の感触では、採用担当者は今では戦略をより重視しているのだという。

「資金の心配がない会社は、より戦略性の高いプランを用意している。それは雇用を中止するということではない。より思慮深くなっているだけだ。(中略)彼らはペースを少々落としている。正直なところ、将来はとても明るいと私は考えている」

これとは別に、仮想通貨企業が求めている役職について、プラム氏はさらに多様化していると語る。「ここ2年間ほど、役職が大幅に多様化してきている」と同氏は言い、単なる開発にとどまらず、マーケティング専門家やアナリスト、コンプライアンス・法務担当者などに広がっていると語る。

仮想通貨業界のキャリアの状況には進展が見られるものの、まだ改善の余地はあるとプラム氏は言う。インターン制度や新入社員の役割という観点では伝統的な金融業に遅れをとっているとし、以下のように説明する。

「伝統的な金融業や銀行、保険会社を見てみると、どの時点においても平均44%という割合で入社レベルの役職が用意されている。それはつまりインターン制度であり、新入社員がこなす仕事を意味する。だが、仮想通貨業界での割合は4%に過ぎない」

プラム氏は、仮想通貨業界に就職するハードルを下げるべきだと考えており、インターン制度をもっと充実させ、業界内で新たな人材を歓迎し、育てることでそれを実現できると思っている。

同氏はまた、将来的に業界のさらなる発展が見込まれるため、人材がもっと必要になるとの見解を示した。強力なプロダクトを持つ会社は「仮想通貨の冬」を乗り切り、頂点に立つことができるとプラム氏は話す。「私たちは多くの会社が17~18年の『冬』を切り抜けたのを目撃した。22年以降も同じようになると信じている」。