分散型ファイル共有プラットフォームであるアレフ(Aleph).imは、ユーザーがNFT(ノンファンジブル・トークン)の基盤データを自動的にバックアップできる分散型アプリ(dApps)の提供を開始した。今回提供されるdAppsは検閲耐性を持つ分散型ネットワーク上に構築されることに強みを持ち、中央集権的に管理された場合のNFTを保護することが可能になる。

NFTはデジタルアートの売買に応用され、大きな話題となっている。デジタル作品に固有の証明番号などを付与することで、分散管理を可能にし、代替不可能にすることが特徴となっているNFTだが、中央集権的な問題は未解決なままだ。

NFTは分散型ストレージネットワークであるIPFS上で作成され、ホストされることが一般的だ。IPFS上に保存されたファイルは不変で検閲不能であるために、NFTを使ったデジタルアートを保存するのに最適な場所となっている。しかし、トークンによっては、Amazon S3などの中央集権的なファイルストレージサービスを利用していることがある。

今回Alephが提供するdAppsは、このように集中管理されているNFTに対して、分散型ネットワーク上でバックアップできるようにするものだ。Alephの創業者であるジョナサン・シェムール氏はコインテレグラフに対し、システムは中央集権的システムの管理者によって基本となるファイルが削除されたり、変更されたりしてもNFTの所有者を保護できると話す。

NFTの基盤ファイルを中央管理者がいるストレージシステムに保存するということは、中央管理者がいつでもデジタルアートなどを修正または削除できる可能性が出てくる。また、ファイルの長期保存は、ホスティングプロバイダーのアカウントが様々な問題により閉鎖される可能性があるため、懸念材料にもなる。

こうしたファイルストレージの問題を示したのは、スムマ(Summa)社の共同創業者であるジェームズ・プレストウィッチ氏のNFTだ。2020年にプレストウィッチ氏のツイートのNFTを、ポリチェーン社のリサーチャーであるエリ・ケレンケ氏が購入していたが、プレストウィッチ氏はツイートを削除してしまい、購入したNFTが存在しなくなってしまった。この出来事自体は、「NFTラグプル(NFTを悪用して資金をくすねること)」が可能かどうかを検証したジョークであるとされているが、高額なNFTを購入した場合には大きな問題につながることは明らかだ。

AlephのdAppsは現在はツイートの保存に対応していないが、シェムール氏は「必要ならば追加も可能だ」としている。現在はスーパーレアやラリブル、オープンシーでのNFTをサポートしている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン