寄稿者:ノリス・ワン(E-PALおよびBalance.fun共同創設者)
ゲーマーは新たな冒険を求めるハッカーのような存在だ。ゲームのレベルや全クリを達成すれば、さらに多くを求める。そして、達成を認められ、誇りを示したいと考える。だからこそ、プレイヤーを指導し、ゲーム内で応援するAIエージェントの導入が、Web3ゲームの人気を急拡大させるだろう。
Netflixのドキュメンタリー『High Score』では、1980年代に大学生たちがAtariの「ミサイルコマンド」を改造し、難易度を上げることでゲームを攻略しづらくしたエピソードが描かれている。彼らはその後、寮内でブースターキットを使った非公式のアーケード市場を作り出した。最終的にAtariは彼らと和解し、条件として全員を同社に雇用することで解決した。
このように、ゲームの知的財産(IP)を改造する行為は、ゲームの改良を目指す真のファン精神に基づくものだと捉えられる。こうした文化は、仮想通貨とゲームの世界にも通じている。AIエージェントを活用してゲーム体験を改善するのも、その延長線上にある。
ゲーム内の仲間からAIエージェントへ
人間の「ゲーム仲間」はプレイヤーを応援したり指導したりする存在であり、Web2ゲームでは人気を集めてきた。そして、この文化がWeb3へと進化するのは自然な流れだ。
ミームコインの過熱が一段落した後、AIエージェントはゲームやソーシャルアプリ内の仲間として導入されるだろう。AIエージェントとは、ユーザーの代わりに自律的にタスクを実行するプログラムのことで、その自律性は設定されたプロンプトや指示によって異なる。
2025年には、クリックひとつで使えるシンプルなデザインのAIエージェントがゲーマーに活用され、ゲーム体験を強化するだろう。こうしたAIエージェントは、ファンによってゲームを改造・改善する手段として機能し、ゲーム産業の原点である改造文化とも一致している。ただし、ゲーマーがそのネットワークの所有権をも得られる場合に限られる。
Web3ゲームにおける所有権とAIエージェントの普及
確かに、Web2ゲーマーはWeb3ゲームを嫌う傾向がある。彼らは、トリプルA(AAA)スタジオがゲーム内スキンやレベルアップ、アドオンの料金を次々と請求してきたことに疑念を抱いている。確かに多くのゲーマーは未だにWeb3ゲームのトークン化や「ゲームネットワークの所有権」の約束には警戒心を抱いている(さらには嫌っている)。
しかし、ゲーム内でのAIエージェントについてはどうだろうか?ゲームの純粋性が損なわれることを恐れるだろうか?いや、AIエージェントはゲームコミュニティを強化するだろう。
ゲームは社交的な活動であり、ゲーマーは常に独自で真実味のある体験を求める。Z世代やミレニアル世代の40%は、現実世界よりもオンラインゲームで多く交流している。クエストで友人と協力したり、画面の向こうの他プレイヤーに勝つことがゲームの醍醐味であり、その成果を共有することも重要な旅の一部である。
AIエージェントはプレイヤーの選択から学び、ゲーム体験をパーソナライズすることで、コミュニティ全体を向上させる。これにより、友人、競争相手、コミュニティ、そしてAIコーチとともにゲームを楽しむ新しい形が生まれる。
ネットワークを所有する時代へ
知的財産の創出は、ゲーマーが誇りを示す一形態であり、その歴史はAtariを改造した学生たちまで遡る。次世代のWeb3ゲームの分散型アプリケーションは、コミュニティの自律性を重視し、クリエイティブな層を形成し、ゲーム内の改造機能を提供し、さらには経済的インセンティブを組み込む必要がある。
AIエージェントによるゲーム内改造は、年間2000億ドル規模のゲーム経済を活性化し、Web3をゲーマーにとって現実的かつ差別化された選択肢にする可能性がある。合理的な「クリエイト&アーン」メカニズムがAIエージェントの導入と融合することで、さらなる発展をもたらすだろう。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。