カリフォルニア州選出のアダム・シフ上院議員を含む10人の民主党議員が、大統領および公職者による「デジタル資産の金銭的悪用」を防ぐことを目的とした法案を提出した。
23日の発表で、シフ氏ら民主党の上院議員は、ドナルド・トランプ米大統領と仮想通貨業界との関係に対応するため、「公職者の収入と情報開示を抑制する法案(COIN法)」を提出したと発表した。この法案は、トランプ氏が家族の関係する仮想通貨プラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」に関連して5,740万ドルの収入を得ていたとする開示を受けての対応だ。
「トランプ大統領による仮想通貨取引は、倫理的・法的・憲法的に重大な懸念を引き起こしている」とシフ氏は述べたうえで、「だからこそ私は、大統領やファーストファミリーを含む公職者がデジタル資産を金銭的に悪用するのを防ぐための法案を提出する」と語った。
これまでも議会では、大統領やその家族を含む一定の公職者に対して、在任中の株式など資産投資を禁止する法案が提案されてきたが、今回のシフ氏の法案では、仮想通貨、ミームコイン、NFT(非代替性トークン)、ステーブルコインの発行・支援・推奨を、「在任180日前から退任後2年間まで」禁止する内容が含まれている可能性がある。
法案本文では特にステーブルコインを標的としており、WLFは2024年3月に独自のステーブルコイン「USD1」を発表している。
5月にはアブダビ拠点の企業が、このステーブルコインを使ってバイナンスへの20億ドルの投資を決済する計画を明かしている。また、トランプ氏の家族はWLFの持分を2023年12月の75%から2024年6月には40%に減らしており、その売却による収益は数百万ドル規模と見られている。
超党派団体「State Democracy Defenders Action」によると、2024年4月時点でトランプ氏のデジタル資産保有額は29億ドルにのぼり、これは彼の全資産の約40%に相当するという。
議会における汚職防止関連法案
シフ氏の法案は、トランプ氏と仮想通貨業界の関係に正面から対応する上院初の立法提案の一つである。下院では、カリフォルニア州選出のマキシン・ウォーターズ議員が、「Stop Trading, Retention, and Unfair Market Payoffs(TRUMP) in Crypto Act」を提出し、「トランプ氏のミームコインを阻止し、仮想通貨腐敗に終止符を打つ」としている。この法案は、トランプ氏が自身のミームコインの上位保有者を招いた夕食会を開いた当日に発表された。
ただし、これらの法案が上下両院で可決されるかどうかは不透明である。仮に両院で可決されても、トランプ氏が拒否権を行使する可能性が高く、それを覆して法案を成立させるには両院で3分の2以上の賛成が必要となる。現在、民主党は上下両院ともに少数派にとどまっている。
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