イーサリアム(ETH)のデフレ的性質が軌道に乗ることによって、「価値の保存手段」としてのビットコインの地位を揺るがすかもしれない。

豪州の研究者らによる論文では、EIP-1559のアップグレードによって、ETHが優れた価値の保存手段になるシナリオについて概説している。

8月のイーサリアムのEIP-1559のアップグレードでは、ネットワークが取引手数料の一部をバーンするようになった。これまでに100万ETH以上のイーサリアムをバーンしている。

レポートでは、新しく生成されたETHの1万2000ETHの50%以上がEIP-1559によってバーンされている。研究者らは、分散型金融(DeFi)のエコシステムによってイーサリアム需要が高まるにつれ、より多くのETHがバーンされるだろうと考えている。

研究者らは、イーサリアムは既にビットコインよりもインフレ的ではないと書いている。

「EIP-1559以降のイーサリアムの作成率を年換算すると、予想されるイーサリアムの総供給量の増加は0.98%となり、同期間のビットコインの供給量の増加率1.99%の半分以下となる」

そして論文では、イーサリアムは「ビットコインよりも優れたインフレヘッジ特性を提供することになり、イーサはビットコインよりも優れた長期的な価値保存手段になる可能性がある」と結論付けている。

ビットコインは総額2100万BTCという上限を持っていることと、パンデックによる金融財政政策で10月に米国のインフレ率は6.2%にまで達した。これによりインフレヘッジ手段としてのビットコインに注目が集まっている。今回の研究の結果を受けて、投資家が同じ目的でイーサリアムを検討するかもしれない。

実際、ビットコイン界隈ではBTCのことを「サウンドマネー(健全な通貨)」と呼ぶが、イーサリアムの支持者たちは、ETHを「ウルトラサウンドマネー」と呼ぶようになっている。