コインマーケットキャップによると、ビットコイン(BTC)の価格は、1日で7700ドルから一時9500ドル近くまで上昇した。24時間で23%近く上昇した形だ。

ビットコインのこの急反発を促した主要な要因として、過去最高のスポット取引高、歴史的なレジスタンスレベルを突破したこと、そして機関投資家による需要が増加したことの3つが考えられる。

スポット取引高が示すビットコインの実需増加

仮想通貨では、スポット取引所というのは、法定通貨から仮想通貨への取引を行うプラットフォームのことを指す。たとえば、バイナンスやコインベースでは、ユーザーはレバレッジなしで米ドルやテザー(USDT)などのステーブルコインでビットコインと交換できる。

スポット取引所の取引高はレバレッジによって膨らむことはない。スポットの取引高は通常、本物の売買異需要を示しており、蓄積フェーズ中に増加することがよくある。

過去の上昇とは異なり、ビットコインの最近の高騰は主にスポットの取引高増加によって引き起こされている。バイナンスのジャオ・チャンポンCEO(通称CZ)が指摘するように、バイナンスでは、1日あたりの取引高が過去最高を記録した

出典: Changpeng Zhao

一方でコインベースでのビットコイン売買は増改したものの、同取引所では一時的にサービス不具合が発生してしまった

その間、ビットメックスでのビットコイン先物の未決済建玉は5億ドルを下回っていた(ビットメックスでのビットコインの建玉は2020年2月には10億ドルを超えていた)。

先物取引所でのビットコインの取引高が比較的少なく、スポット取引所の方が優勢だえることは、今回の7700ドルから9000ドル台までの高騰が実需を伴うものであったことを示すものだろう。

重要なレジスタンスを突破

仮想通貨トレーダーのベンジャミン・ブランツによれば、ビットコインが8000ドルを突破したことで、過去の需要なレジスタンスを突破することができた。

100日間移動平均と200日間移動平均、そして61.8%フィボナッチリトレースメントレべルのすべてを同時に上抜けることができたのだ。

 出典: Benjamin Blunts

「100日間と200日間の移動平均、そして0.618fibのすべてを一気に突破した」とブランツは指摘した上で、「問題はここから先、何が起こるかだ」と述べている。

ビットコインが反落することなく、重要なレジスタンスを突破した場合、より強い上昇の動きを引き起こすことになる。実際、ビットコインが8000ドルを突破した後に、BTCはすぐに9500ドルまで急騰した。

機関投資家の需要がセーフティネットに

2020年第1四半期におけるビットコインの重要なナラティブの1つは、機関投資家によるビットコインの蓄積だ。

ビットコイン投資信託を手掛けるグレースケールの四半期レポートでは、投資の88%が機関投資家によるものだと述べている。バリー・シルバートCEOによると、同じ期間に、グレースケールのビットコイン投信の運用資産は30億ドルにも達した。

「今四半期の流入の88%は機関投資家のものであり、その圧倒的大多数はヘッジファンドだった」と、グレースケールは説明している

出典: Grayscale

2020年1月以降、グレースケールの機関投資家の資本流入が徐々に増加していることは、機関投資家が第1四半期を通じて一貫してビットコインに投資していたことを示している。

オーガニックな実需増加に伴うスポット取引高の増加、重要なレジスタンスレベルの突破、そして機関投資家による需要により、ビットコインは半減期前に9000ドルの大台を突破し、急上昇を見せたことになる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン