キーポイント:
トレーダーがFOMC決定を前にリスクを回避し、ビットコインは10万3,500ドルまで下落
テクニカル指標は、10万2,000~10万4,000ドルでの反発を示唆
オンチェーンデータは、過去1カ月間に中期保有者が大きな利益を確定したことを示す
ビットコイン(BTC)の価格は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合および水曜日に公表される利上げ判断を前に、トレーダーがリスクを減らしたことで10万3,300ドルまで下落した。この調整は、弱気の週足終値に続くもので、トレンド反転の可能性を示唆している。また、特にイスラエルとイラン間の地政学的緊張も、リスク回避の動きを強める要因となっている。
スイスブロックが支援する市場動向アグリゲーター「Bitcoin Vector」によれば、この下落はマクロ経済要因だけによるものではないという。季節的な弱含みやオンチェーンのネットワーク成長の鈍化とも一致しており、スポット需要の冷え込みを示唆している。過去1日間でBTC先物の清算額は4億3,400万ドルを超え、今回の動きがレバレッジ主導であること、つまりトレーダーが新規ポジションよりも慎重な姿勢を取っていることを強調している。
それでも、コインベースとバイナンスの価格を比較する「ビットコイン・コインベース・プレミアム・インデックス」は、6月を通じてプラス圏にあり、米国投資家の安定したスポット需要を示している。ただし、この需要は市場全体の慎重なムードのなかでは、価格に与える影響は限定的となっている。
グラスノードによると、6〜12カ月の「中期保有者」は月曜日に9億400万ドルの利益を確定しており、これは全体の確定利益の83%に相当する。この層は、これまで利益確定を主導してきた12カ月以上の長期保有者に代わって主役となっており、市場構造の変化を示唆している。より反応的な参加者が、直近高値で利益を確保していることになる。
一方で、長期保有者の行動は強気の見通しを支えている。ビットコイン研究者のアクセル・アドラー・ジュニア氏は、長期保有者(LTH)はいまだに大規模な売却を控えており、これは過去の強気パターンに一致すると指摘している。
MVRV Zスコアが「ビットコインは依然としてファンダメンタル的に過小評価されている」ことを示しており、Coin Days Destroyed(CDD)のモメンタムもポジティブであることから、現在の利益確定はパニックではなく選択的な売却であると示唆されている。過去の類似パターンでは、6〜8週間以内に18〜25%の上昇が起こっており、第2四半期末までに13万ドルへの到達も見込まれている。
ビットコインは10万2,000ドルで下げ止まる可能性も
テクニカル的には、ビットコインは10万2,000~10万4,000ドルの間で短期的な底を形成しつつある。この水準には流動性の集中ゾーンと過去のオーダーブロックが重なっており、反発の可能性がある。
さらに、10万2,000ドル周辺での平均回帰が期待される理由として、ボリンジャーバンドの存在がある。チャートで示されている通り、中心線(ミドルバンド)付近、つまり10万6,000ドルあたりは動的レジスタンスとして機能しており、6月初旬の価格の停滞局面でも同様の動きが見られた。
ボリンジャーバンドが収束していることも、間近のボラティリティ急増を示唆している。ミドルバンドのある10万6,000ドル近辺が動的なレジスタンスとして機能しており、10万6,748ドルを明確に上回って終値を付ければ、11万2,000ドルへの強気の平均回帰が現実味を帯びる。一方で、10万ドルを明確に割り込むと、現状のシナリオは無効となり、9万8,000ドルへの下落が視野に入る。
Alphractalのデータも、9万8,300ドルが「短期保有者(STH)が含み益を維持できる」重要なサポート水準であることを示している。この閾値を下回ると、構造的により深い調整局面に入る可能性がある。
Alphractalは次のように述べている。
「ビットコインが短期保有者の実現価格を上回っている限り、市場は依然として強気だと見なせる。この9万8,000ドルの水準を明確に割り込んだ場合にのみ、下落シナリオが現実化する可能性がある」
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。