昨今の新型コロナウイルスの感染拡大という大きな危機を体験した人々は、人生観や価値観が大きく変わり、生活様式や働き方にも変化が起きている。

東日本大震災と大きく違うのは、この危機的状況は日本に限ったことでなく、グローバル全体で危機となっていることであり、今後の社会と経済が世界的にどれほど影響を受けているか把握し、見通すことは非常に難しい状況だ。

世界中でロックダウンが実施され、日本においても緊急事態宣言下で多くの労働者が在宅ワークをすることとなったが、そこには大きく異なる体験であったことに気付いてほしい。

長時間の在宅ワーク、オンラインミーティング、オンラインで日用品、食料品の注文を取ることができるのは限られた人々であり、何千万人、何億もの人々にとって、ロックダウンとは働くことができないことであり、ロックダウン中でも営業していて、現金での支払い可能な店舗を探し、店舗を訪問することでウイルス感染の危険性も高まるという全く異なる体験が世界では起きている。

世界中の人々が大きく苦しむ中、一つのビジネスモデルが急加速で成長してきている。それは、働いた分の給与をすぐに受け取るという「給与への早期アクセス」という考えだ。

JobCoin構想、世界が認め始めた給与即時払いのニーズ

JobCoinのプロダクトである給与即時払いのビジネスモデルは、現在世界中で広く受け入れられており、2021年に入ってからは様々な企業がユニコーン企業として評価されるほどに盛り上がりを見せている。

アメリカのネオバンクで最も企業価値が高く、給与即時払いサービスを提供しているChime(チャイム)社を例に挙げると、直近の資金調達では4.8憶ドル(約520億円)を調達し、評価額は145億ドル(約1兆5000億円)のフィンテック業界のデカコーン企業へと成長している。

隣国のメキシコ、カナダにも多くの給与即時払いサービスが普及しており、世界ではこれらのサービスをEWA(Earned Wage Access – アーンドウェイジアクセス [稼いだ給与へのアクセス])またはOn-demand Pay(オンデマンドペイ[必要な時に給料を手にする])と呼んでいる。

私たちはすでにオンデマンド社会を生きており、消費者が好きなものを、好きなときに、好きなだけ利用できるが、給与だけは好きな時に利用できず、多くの人々は月末を待つしかない状態が続いている。

消費者が事業者に対し、自発的に要求を出し、自分のためにカスタマイズされたサービスを享受することができる消費者主導型の市場、それがオンデマンド社会であり、そのオンデマンド社会でスムーズな決済を行うには、働いた給与への早期アクセスというサービスは必須である。

人口の多い中国、インド、インドネシアはもちろんのこと、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアでも多くの企業が同様のサービスを手掛けており、オンデマンドペイという給与即時払いサービスは、間もなく世界中で常識となるところまできている。

2015年という早期に構想が練られてきたJobCoinプロジェクトに、いままさに世界の市場が追い付いてきたのだから面白い。

JobCoin構想、給与即時払いが世界に与える社会的インパクト

2020年から2021年にかけて、このニーズが顕在化した背景としては、新型コロナウイルスの感染拡大によって引き起こされたパンデミックが1つの要因であることは確かなことであるが、パンデミック以前から相当なニーズは潜在していた。

パンデミック以前は、給与への早期アクセスについてネガティブな心理が働く人々が多かったが、世界中で起きた大きな危機をきっかけに、人々は給与に対する意識と価値観が変わり、自分が働いた分の給与にはすぐにアクセスできることは思った以上に自由度が高く、精神的ストレスが減ることに気付いた。

企業、雇用主側も従業員の生活を守るため、福利厚生の充実という観念からも給与への早期アクセスに取り組み、結果として経営者は従業員を守ることが自身の企業を守ることに繋がることに気付いたのである。

JOBコインプロジェクトは現在、アジア圏、シンガポールを軸にアメリカ、ヨーロッパ圏へと進出し、真面目な労働者が働いた分の給与相当額をいち早く使えるような給与即時払いシステムを「労働者に対して誠実な会社」に提供するため、送金技術とセキュリティ面について強化を図り、最終的な事業目標となる世界の貧困や格差の低減を実現する。

JOBコインにおいては、ERC-20での再上場の準備を進めており、今後は大手取引所への上場を予定している。